サイボーグな彼女 13

ふたりの夢 14 ki ページ22

「じゃ、そんな感じかな」

「だね」「ん」



この後の収録について7人で話しながらメシを食う。



マネージャーたちもマネージャーで固まって食ってるから
何か打ち合わせがあるんだろう。



…異動の話なのかな。



Aは何も言って来ないし
俺から「異動なの？」なんて聞く勇気も無くて。


あれからAは特に変わった様子は無かった。



Aともホントに普通に過ごしていた。

メシ食って泊まったり泊まらなかったり。
朝メシだけ食いに行ってそのまま仕事行ったり。


忙しくしてたのも数日で
俺と過ごす時間も増えたから余計に聞けなくなった。



マネージャーチームに武田ちゃんも合流して話してると思ったら

「「「彼女！？」」」

マネージャーたちからすごい大きな声が上がる。



思わず俺達も振り返る。



「え！え！！武田さんにですか！？」

「ダメなのかよっ」

「ダメじゃないっスけど！でも！えーっ！」

小林ちゃんと武田ちゃんと杉山ちゃんが盛り上がってる。



「武田ちゃん恋愛するんだ！！」

ニカが言うと

「うるせー！俺だって人間だ！！」

武田ちゃんが怒ってる。



「へー！」

俺も意外だと思った。

何だか冷血で熱愛の時のあの冷めっぷりみると
恋愛に興味ないのかと思ったけど。




Aは全く驚いてなくて

「武田さんには彼女いてもおかしくないですよ」

なんて言い出す。



「だろ！？」

「最近丸くなりましたよね、武田さん」

Aが言うと

「「「………え？」」」

A以外のマネージャーがみんな驚いてる。



「Aさんあんなに責められてたじゃないですか」

酒井ちゃんが言う『あんなに』はきっと俺とアイドルの事を言ってるんだろうけど

「それは私にも原因ありましたから」

Aは淡々としてて。



そーいや、最近リハで間違えても
武田ちゃんネチネチ言って来なくなったな。



「さすがAさんだね」

斜め前にいた藤ヶ谷がボソッと言う。



「え？」

「よく見てるよね、俺しか気づいてないと思ってた」

「え、藤ヶ谷知ってたの？」

「そりゃ担当だしね」

藤ヶ谷はニッて笑う。



「過ごす時間も長いしね」

「へー」

「北山だってAさんの変化には一番に気づくでしょ？」



藤ヶ谷は言うけど

「…多分」

正直自信はない。



「多分Aさんは北山の変化にすぐ気づくよね」

「そりゃそうだろうけど」

「俺達もその逆できないと、だよね」



藤ヶ谷は言うけど。



気づけるかなー、俺。

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