この想いの結末は 9

after サプライズ？ 9 ページ8

Aside


誕生日の電話以降
太輔と連絡は取らなかった。



太輔からは

太輔大事な時に嫌な思いさせてごめんね。
試験頑張って!

って来てたけど。



なんて返していいか分からずにいた。



今思えばすぐに「頑張るね」とか送っておけば良かったのに
完全にタイミングを逸した。



試験3日目。

その日は私が一番苦手な図柄を希望するお客様を担当をすることになっていた。



しかもそのお客様はお急ぎで
相当急がないと希望時間に終わらない。

「ごめんなさいね、こちらの都合で…」

「大丈夫です！頑張ります！」



とは言ったものの。

間に合ったけど
時間が相当ギリギリになってしまった。



「本当にありがとう！」

「ギリギリになってしまって申し訳ございません」

「とんでもない！ありがとね！」



そのお客様は満足して帰られたけど、
問題はその後だった。



「あれ？パーツの在庫が合わない」

「え？どれですか？」

「このパールのパーツ」



見せてくれたのは見覚えのあるパーツ。



私が急ぎのお客様で使ったのと同じパーツだった。



慌てて伝票を確認すると
私が伝票にそのパーツを書き忘れていた。



「ごめんなさい！私です」



やっちゃった。
お客様からもらい忘れちゃった。



皆さん優しいから「気にしなくていいよ」って言ってくださるけど
結果は会計ミスだし当然減点の対象だろう。



お客様だって同じネイルして次の会計の時金額が違ったらびっくりするはず。

再来店した時に私はいないから
私にはお詫びする事が出来ない。



急いでたからって許される訳が無い。

結果、みんなに迷惑かけちゃうことになった。




ホテルに戻っても
ご飯を食べる気にもなれなくて。



滝に見立ててシャワーで水でも浴びようか。

…いや、風邪引いたらいよいよ迷惑かけちゃうな。



どんよりした気持ちでバスタブにお湯を張る。

気分転換用にアコちゃんのお店のお気に入りの香りのバスソルトを入れて
それが溶けていくのを見守る。



そういえばアコちゃんが落ち込んだら開けてっていってた封筒があるな。



封筒を開けると写真が数枚入ってる。
紙に書いたメッセージの写真。



1枚目は

『Aなら大丈夫』



字をみるとアコちゃんの字じゃない。



2枚目に

『お客様の喜ぶ顔だけ考えて』

3枚目に

『Aなら出来る！』



そして4枚目は昔の太輔の写真。




このメッセージは太輔だ。

そして4枚目はアコちゃんだね。

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