この想いの結末は 9

after そしてそれから 25 ページ48

これはあくまで
マネージャーに式をする気に
なってもらうことと
基本的には
俺たちからのサプライズってこと。

だから本物の式になり過ぎないように
進行を全て言ってもらうようにした。

『新郎はここで新婦が来るのを待ってください』

立ち位置まで言ってもらう。

マネージャーは
戸惑いつつもその位置に立つと

『新婦の入場です』

牧師さんが言う。

扉が開いて入ってきたのは
泣き顔のアコとA。



……なんで泣いてんの？



『一礼した後で新婦のエスコート役の方は新郎の所まで新婦をエスコートしてください』

言われてAは鼻を啜ってアコの手を取ると
マネージャーに向かって歩き出す。



『新婦のエスコート役と新郎はお辞儀をして新婦のエスコート役の方から新婦の手を新郎に渡して下さい』



牧師さんの言葉の通りAはマネージャーの前に立つとお辞儀をして

「アコちゃんを、よろしくお願いします」

泣きながら言うA。



マネージャーはしっかり頷いて

「幸せにします」

ちゃんとAに言うからAはまた涙を流してる。



役目を終えたAは涙を拭いながら俺の隣に立つ。

「…どうしたの？」

ハンカチを渡すと

「感極まっちゃって」

鼻を啜りながら言うAは
本当にアコの幸せを願ってるんだろうな。



人がいいな。

模擬挙式なのに。



笑っちゃいそうになるとAが睨んでくるけど
もし仮にアコが式を挙げることになったら
模擬でこの状態なのに大丈夫か？

始まる前から泣いてそうだな。

想像したら面白くなっちゃって
笑ってるとまたAに睨まれて肘で押される。



『ではここで、誓いの言葉を…』

式はどんどん進んでいって誓いの言葉を言い合う。



『では、誓いの印として指輪の交換です。今回は指輪の代わりにコチラを使います』

牧師さんが掲げてくれたのは
俺たちが用意したお互いの誕生石がついたブレスレット。

『こちらは2人からのプレゼントです』

牧師さんの言葉にマネージャーとアコが俺たちを振り返る。



ニッて俺たちが笑うと2人が顔を見合わせて笑って
マネージャーは口パクで『サンキュ』って言って
アコはまた泣きそうになってて。

Aは嬉しそうな2人を見て泣く。



「泣きすぎ」

肘でつつくと

「アコちゃんが、嬉しそうで、嬉しくて」

小声で鼻を啜りながらAが言う。



ホント、アコは事好きだよね。



でもそろそろ泣き止んで？
Aの手をギュッと握った。

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