この想いの結末は 9

after そしてそれから 24 ページ47

Aside


2人を連れて
やって来たのはチャペル。



武田さんは

「はい、男性はコチラに」

トモちゃんに連れられてチャペルの中へ。



「え？」

戸惑う武田さんを

「はいはい、中にどーぞ」

太輔が連れてっちゃう。

「えっ、ちょっと待っ…」

武田さんはアコちゃんとはぐれさせられて
パタン、とドアが閉じる。



そしてチャペルの入り口に私とアコちゃんが残されると
途端にアコちゃんは笑い出す。



そして笑い終わると

「……やってくれたね、Aちゃん」

言うアコちゃんの声が低い。



さすがに怒ってるよね。
チャペルはやりすぎかな、って太輔と心配してたんだけど
最終的に完全にリハーサルっぽい感じにしよう、って太輔と決めた。



アコちゃんがこっちを向くから咄嗟に身構えたら
フワッとアコちゃんに抱き締められて

「…ありがと」

嬉しそうな声でアコちゃんは言う。



良かった、怒ってない。



「怒られるかなーって思った」

「白いドレスなら怒ったかも。写真では着る予定だったから」

アコちゃんはくすくす笑う。

優しい笑い声にホッとする。



「カラードレス着る予定無かったからものすごく嬉しいっ。しかも私が好きなオレンジ！」

「だからネイルもオレンジと白にしたの」

「やってくれたよねー。めちゃくちゃ私の好み」

「だてにずっと一緒に遊んでないよ」



顔を見合わせて笑ってるとふとアコちゃんが真面目な顔をして

「Aちゃんのおかげでこっちでの生活楽しかった。…Aちゃんと離れるのだけが、心残りなの」

泣きそうな顔で言う。



「いま結婚にためらう理由があるとしたら、こっちでの生活終えてAちゃんと離ればなれになるのだけだが嫌なの」

だんだん目をうるうるさせてアコちゃんが言うから
そんな風に思ってたなんて知らなかった私は
改めてアコちゃんが静岡から居なくなるのが寂しくなる。



そうか。
アコちゃんが静岡から居なくなるんだ。

私は一時的に東京にいるけど
静岡戻ってきたらアコちゃんはもう居ないんだ。



そう思ったら私も悲しくなって泣きそうになる。



「太輔も居るし、これからは私がそっちに遊びに行くよ」

泣かないようにふざけて言うと

「ちょっと！私は太輔のついで！？」

アコちゃんが笑って
その時に目に溜まってた涙が零れる。



「Aちゃんのバカっ」

「アコちゃんこそ」



どちらともなく抱き合って
アコちゃんと私はしばらく泣いた。

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