この想いの結末は 9

after サプライズ？ 22 ページ21

Aside

「LINEの返事だけどね」

家に着く手前。

信号待ちで後ろに移動した私に
太輔が言う。



「あぁ、うん」

今日はそれを言いに来たんだっただよね。



「ドラマ決まったの」

「うん、おめでとう」

「だからまた忙しくなるんだけどね？」

「うん」



それなのに無理させて申し訳ないよ。



「家のことも出来なくなっちゃうし、来てくれても一緒に過ごす時間も減ると思う」



言いながら太輔のマンションの駐車場に車を停めて
太輔は私に車のカギを渡す。



「話の続きはこの後ね。いつもみたいに少ししてから来てね」

「うん」



頷くと先に出ていく太輔。



いつも通り少し経ってから太輔の部屋に行くと

「おかえり」

太輔が玄関で待っててくれる。



「『おかえり』？」

「うん」



『いらっしゃい』じゃないの？



不思議に思いながら上がると
スリッパがあるんだけどいつもと違うスリッパ。



「新しいね」

「うん」



太輔がクスクス笑ってる。



そのまま太輔に手を繋がれて
連れていかれるままついていくと寝室に着く。



「今日からここがAの部屋」

「えっ？」



部屋に入ると
広い寝室の一角に机とドレッサーがある。



「あとここも」



クローゼットに半分空いたスペースがある。

靴を置くスペースも。



「…え？」

「ここのスペースはカバンも置けるよ」

「えっと、太輔、そうじゃなくて」



驚いてる私に
太輔はドレッサーまで私の手を引くと

「この前まで置いてってたのは全部この中入れたから後で使いやすいように変えて？」

「ちょっと太輔？」

「あとアコから貰ったコットンも入ってるから」

引き出しを開けて中に入ってるものを見せてくれる。




「太輔？」

呼ぶと太輔が私をようやく見る。



手を繋いでいる手ともう片方の手を取って

「ここは今日から俺とAのおうち」

優しい声で太輔が言う。



「もうお客様じゃなくてこれからはAのおうちでもあるから」



えっ？
ドレッサーも机も買ってくれたの？



「今日からはゲストルーム使わないでここを使ってね」

太輔が微笑む。



…いいの？

私が特別な場所にいていいの？



びっくりして胸がいっぱいで何も言えない。



「忙しくて会えなくなったり変な言い方して悲しませたり寂しい思いさせちゃうかもしれないけど。そうなった時には1人で悲しまないでここに来て？」



そっと私の唇に太輔の唇が重なる。



目を閉じた時にポロって涙が零れた。

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