この想いの結末は 9

after サプライズ？ 19 ページ18

Aside



しばらく車を走らせて
インターに向かう途中の信号待ちで

「飲み物とかある？」

優しい声で聞いてくる太輔。



最後の電話があんな電話なのに
優しすぎでしょ。



「…うん」

「ん、じゃあそのまま行くね」



ぽんって私の頭に一瞬手を乗せてから
走り出す。



やっぱり優しすぎ。



「…何から話そっかー」

東名に乗って少しして太輔が言う。

「なんでもいいよ」

誕生日のこと、試験のこと、入所祝いのこと、写真のメッセージのこと。

何から話したらいいかもうわからないし。



そう返すと太輔は「んー」って少し悩んだ後で

「今日行ったインド料理屋さんでカレーとナン以外に何か食べたの？」

なんてまさかの質問をしてくる。



「えーっと…ラッシー飲んだ」

「へー、美味しいよねラッシー」

「うん。そこのラッシーはプレーンとマンゴーがあってね」

「へぇー！マンゴーは美味しそう！」



太輔の優しい声のトーンが久しぶりですごく心地いい。



そのまま太輔は核心に触れないまま
最近あった楽しかったことや美味しかったイチゴの話をしていた。

だから逆に気になる。



「ねぇ太輔」

「んー？」

「太輔はわざわざ静岡までLINEの返事と美味しいイチゴを食べた話しに来たの？」



結局こっちから核心に触れる形になっちゃう。



「うん」

「…ワガママな私を怒りに来たんじゃないの？」

「あはは！何も怒ってないしAをワガママって思ってないよ」

そう言って太輔は笑う。



「なんかさ、すれ違っちゃってるからちゃんと話したいなって思って来たんだけど。Aの顔見たらどうでもよくなっちゃって」

「どうでもよく？」



何それ？

もう話す価値もないってこと？



「会って顔見たら満足しちゃった」

「満足？」

「Aに会うまでは『なんで最近全然LINEくれないの？』とか『休みなのに会いに来てくれないの？』とか思ってたけど」

「……ごめんなさい」



そこはもうただ私が拗ねてるだけで
拗ねるのをやめるタイミング逃しちゃっただけなんだけど。



「ううん、いいんだ」

「何が？」

「Aが元気で過ごしてたらそれだけでいいじゃん、って思っちゃった」

周りに車がいないし直線のタイミング。
太輔は私の頭をくしゃっと撫でた。



…なにそれ。

あんなに私の態度悪かったのに
なんでそんなに優しいこと言うの？



拗ねてた私がバカみたい。



静かに泣き出す私に太輔が気づいて慌てる。

でももう止まらない。

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