サイボーグな彼女 12

好きすぎるから 28 ページ40

ご飯を食べた後。

ソファで寛いでると社用スマホが鳴る。
画面を上に向けてたからバッチリ表示される。



『宣伝 炭谷』



宏光にも見えてて
音に反応したのか名前まで見えて反応したのか宏光が動いたのが分かる。

そもそも隠す事もないし
いま涼さんに何の感情もなく
昨日のおかげで逆にスッキリしている。

社用スマホに掛かって来てる事で
むしろ涼さんも仕事の用事なのがわかる。



だから普通に電話に出て
でも宏光はテレビを見てるからキッチンまで離れる。



「もしもし」

『お疲れ様。いま電話大丈夫？』

「はい」



内容は明日予定していた撮影が1つ時間変更になったっていう話で。

さっきの打ち合わせで
出来ればそうして欲しい、って伝えておいたこちらの要望を通してくれたっていう連絡だった。



『メールでも送ってあるけど明日の事だから念の為ね』

「助かります、ありがとうございました」

『それじゃあまた明日。おやすみ』

「おやすみなさい」



電話を切ってソファに戻ると
宏光が『気にしてませんよ』ってものすごく気にしてる顔で私を見る。



わかりやすい。



「明日のスケジュール、こちらの希望が通って早く終わることになりました」

「そか」

「薮さんと飲みに行けますね」

「………ん」



今度は私から目を逸らして宏光はテレビを見る。



こんな時
どうするのが正解なのかな。



何を考え込んでるのか分からないけど
涼さんに対して何か思う事があるけど気にしないフリをしてるのは明らかで。



少し離れてた方がいいかな。

宏光のマグカップを見ると空だったから
私も飲み物を飲み切って声を掛ける。

「飲み物いれてくるけど何か飲む？」

「んー、いいや」

宏光は私の方を見ないで答える。



チラッと宏光を見るけど宏光はテレビを見てる風だけど全然目の焦点が合ってないから
考え事をしてるのは明らかで。



…少し1人にした方がいいのかな。

自分のカップだけ持ってキッチンに向かうと
そのまま出来るだけ音を立てずに片付けや冷蔵庫の整理を始めた。



そろそろたこ焼きかお好み焼きで残った食材使い切ろうかな。

なんてたこ焼きの素の量を見て考えてたら宏光がすぐ横に来る。



「…まだかかる？」

探るような顔で宏光が私を見る。

「もう終わるよ」



広げてたものを片付けて手を洗うと
洗い終わるのを待たずに宏光が後ろから抱きついてくる。

「……」

何も言わないから私も黙ってると
少しして宏光がようやく話し出す。

好きすぎるから 28 ki→←好きすぎるから 27 ki

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す