サイボーグな彼女 12

好きすぎるから 26 ページ36

翌朝。



「おはようございます」

「「「おはようございます」」」

ロビーに宏光と降りると皆さん揃っていて。



「おはようございます」

当然その中には涼さんがいる。



「昨日はありがとう」

涼さんが頭を下げてくるから

「いえ、こちらこそ」

私も頭を下げる。



頭を上げた時に目が合った涼さんが
穏やかな顔で笑ったからホッとする。

そして多分私の顔を見て涼さんも目を下げた。



…うん、もう大丈夫だろう。



「今日の予定は変更なしで」

「はい」

「空いてる時間で来週の舞台挨拶の打ち合わせと玉森さんの取材スケジュールの調整したいんでよろしく」

「はい」



私も確認しておきたいと思ってたので助かる。



今日は映画祭の出展とその取材の対応の後
ギリギリまで台湾でロケで
最終便で帰って明日は午後からの予定。



予定通り順調に進んで
合間に涼さんとスケジュール調整をする。

最後の取材が終わって宏光が身支度を整えてる間に控え室の隅で最後の確認をする。



「…こんな感じですね」

「はい」

「よろしくお願いします」

「こちらこそ」

涼さんが締めて打ち合わせが終わる。



私たちも空港に向かうから資料やタブレットを片してると

「グループLINEに連絡があるけど4月の頭にゼミで送別会やってくれるらしいんだ」

涼さんがこちらを見て言う。



「そうなんですね」

「良かったら来てよ」

「もちろんです」



ゼミ仲間であることに変わりはないので。



「じゃあお疲れ様です」

「お疲れ様でした」



控え室を出る涼さんを見送ると控え室には宏光と2人になった。



ふと『もしかしてゼミの集まりに嫌な思いしてないかな』と思って振り返ると
宏光は何事も無かったかのようにメイクを落として

「あーー、終わったなー」

さっぱりした顔で振り返ると私にタオルを渡してくる。



「空港で時間あったらみんなにみやげ買って帰りてーな」

「……そうですね」



タオルを受け取りながら宏光を見るけど
反応が無さ過ぎて何だか違和感を感じる。



いつもならこういうくだりで絶対何か絡んでくるのに。



しかも昨日の夜の様子もおかしかったのに
涼さん絡みで何も言ってこないなんて宏光らしくない。



ついじーーっと見ちゃうと

「……んだよ」

宏光がムスッとしてるけど何だか目が異様に泳いでいて。



宏光は私がわかりやすいって言うけど
実は宏光もわかりやすいのかもしれない。



…でも宏光は聞いても教えてくれないだろうな。

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