サイボーグな彼女 12

好きすぎるから 27 ページ38

「「お疲れ様でした」」

社用車の前までスタッフさんたちに送ってもらって
みんなの姿が見えなくなってから

「あーー！終わったーー！！！」

宏光が伸びをする。



「お疲れ様です」

「んー、Aもお疲れー」

「夕飯どうしますか？」

「明日も仕事だし軽く済ませて早く寝てーな」



シートベルトを引っ張って弄りながら
宏光があくびをする。



信号待ちの止まったタイミングで

「なんなら先にAを食べたいけど？」

宏光はそう言って前のめりになる。



でもよく見ると宏光はからかってる顔をしてるから多分本気ではない。
無反応な私に宏光が「ちぇっ」て不満そうに呟いてシートにもたれた。



そして私には宏光に言っておかないといけないことがある。

「来週からこういう会話も全部撮られますからね」

「は？」

「ドライブレコーダーを車内と車外に向けて設置しますから」

「え？」

「何かあった時のために会話も全部録音録画しますから」

「はぁーー！？」



宏光はものすごく不満そう。

でもこれで皆を守れるのであれば必要なものなんだから。



「じゃあいまのうちに車で記念になることしとかなきゃかな」

「不要かと」

「何でだよ、なんか仕事で使う車の中とか燃えるじゃん」

「燃えません」



…やっぱり宏光がおかしい。

さっき変に避けて来たと思ったら
今度は絡んでくる宏光の情緒不安定さが心配。



でも。

「昨日約束しましたもんね」

「あ？」

「昨日言ってた『明日の今頃』まであと少しだから」



自分から言うのはものすごく恥ずかしいけど。



宏光が言いたくなるまで待つって決めたし
辛そうな宏光に私が出来るのはこれくらいだ。



「…おぅ」

ミラー越しに宏光を見ると少し照れてはにかんだように笑っている。

言ってみて良かったのかも。



「ありがとな」



気のせいかな？ってくらいすごい小さい声で宏光が言う。

ミラー越しに宏光を見るとこちらを全く見てなくて
照れてるんだなって分かる。



あぁ、こういうことか。

私がわかりやすいって宏光が言うのと一緒で
私からしたら宏光だってわかるようになってきた。



嬉しいな。



「おーい」

宏光が呼ぶからミラー越しに見ると
すごく嬉しそうにニヤニヤしてる。



「そんなカオされちゃうと今夜めっちゃ抱くけど？」



この発言も宏光が嬉しいからテンション上がって言ってるだけなのも分かる。



「まだ仕事中ですから」



少し塩対応した方が宏光が喜ぶのも分かる。

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