サイボーグな彼女 12

好きすぎるから 16 ページ17

さて、2時間どうしよう。

「サウナ行きますか？」

車に乗って宏光に声をかける。
その間私はカフェで事務仕事でもしてよう。



「あー、それもいいな」

「それも？」



それも、って何だろう。



不思議に思ってると

「でも今日はデートしよーぜ」

「は？」

「だからデート」

「…何を言ってるんですか？」

「日本語」

ニッて笑う宏光は完全にからからいモード。



よく分からないけどとにかく次の現場に近いサウナかな。



無視してとにかく車出さなきゃと思ってエンジンをかけたら

「ちょっと！まだ話終わってねーぞ！買い物してお茶すんの」

私が無視したことに慌てて宏光が言う。



「はぁ」

「もーすぐバレンタインだろ？俺にプレゼント買ってよ」

「え？」

「ババさん、俺にも買って」

ニコーってミラー越しに宏光が笑って私を見てる。



宏光が？
ババさんを？



びっくりしてると

「俺も最近Aと寝ない日に抱っこするもの欲しくなったんだよねー」

宏光はニコニコしてる。



本気なんだ。



「33歳なのに？」

「…それはAも一緒だろ」



ムッとしてる宏光。



「あの店なら買ってても誰かのプレゼントっぽいし、その後コーヒー飲んでてもタブレット広げてたら怪しくねーだろ？」

「…それは、まぁ」

「ん、じゃ現場の近くに店あんじゃん。そこ行こ」



そう言って宏光は寝る体勢。
私に拒否権無くすためなのが分かる。



宏光優しすぎでしょ。

私が嬉しいことばかりしてくれてる。



お店についてフットブレーキの音で起きた宏光は

「んふふ、2人で買い物って初だな」

なんて寝ぼけた声で言って笑ってる。



「宏光がバレたら撤収だからね」

「ん」

「はぐれたらここ集合」

「ん」

「何かあった時のためにスマホ持った？」

「ん」



「では出発で」

ドアを開けると

「…もーちょいデートっぼい掛け声ねーの？」

宏光は呆れてるけど。



偶然空いた時間の埋め合わせだし
やっぱり周りの目が気になるわけだし。



当然宏光は伊達メガネとマスク。

だから余計にデート感あるかと言われると少し微妙。



でも

「なんかさ」

宏光が小声で言う。



「すごくドキドキする」

「何が？」

「2人で外歩くとか」



マスクとメガネ越しでも宏光が笑ってるのがわかる。



そうだね。

こんな機会ないし。
変にコソコソする方が目立つし普通でいよう。

…とはいえやっぱり警戒しないとだよね。




あぁもう、気持ちがグルグルしてる。

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