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妹。F 7 ページ49

猛ダッシュで駅まで走った。

一番遠くまで切符を買うと
電車に飛び乗る。



乱れた息を整えながら
遠ざかる景色をぼんやり眺める。



これからどうしよう。



まだ中学生になったばかりで
働くこととか出来るのかな。



ついた駅でベンチに座って途方に暮れてたら

「何してるのかな?」

優しい顔の駅員さんに声を掛けられる。



そこで初めて冷静になった。



今日は平日だ。

本来なら学校なのに
リュックサック1つで駅でぼーっとしてる子がいたら不審に思われても仕方ない。



土地勘のないところで
逃げようもないから

「家出です」

正直に言ったらその駅員さんも面食らっていた。



その駅員さんは仕事が終わったとこらしく
車で家まで送ってくれた。



その道中で何で家出したかを聞いてくれたその駅員さんは

「それは辛かったね」

優しい声で言ってくれる。



「でも本当の家族かどうかなんて、血が繋がってても血が繋がってなくても分からないよ?」

「…そんなもんですか?」

「だって結婚だって他人同士がするでしょ?」



あぁ、そうか。
言われてみればそうだ。



うちの前につくと

「帰って話してごらん?もし本当に必要とされてないならまた駅に…」

その人は言いかけて止まった。



「その必要は無さそうだよ」



玄関を指差すその人の視線の先には
母さんがいる。



俺が助手席から降りると
母さんは痛いくらい俺を抱き締めてきて泣く。



それだけで
母さんがものすごく心配してくれてたのが分かった。



「………ごめんなさい」



呟くと母さんは黙って首を振る。



駅員さんに御礼を言って家に入ると
ものすごく怒った顔のみつ兄ちゃん。



「…ごめん」



謝ってから靴を脱いで玄関をあがると
みつ兄ちゃんは無言で俺を引っ張って仏間につれてくと
思いっきり俺の頬を殴る。

その勢いで部屋の端まで俺は吹っ飛ばされて
ドンッ!って音を立てて背中をぶった。



殴られて当然だった。
心配かけたんだし。



「ごめ…」

んなさい。



言いかけて止まる。



みつ兄ちゃんが肩で息をしながら泣いてた。
ものすごく哀しそうな顔で。



何も言えなくなった俺をみつ兄ちゃんは抱き締めて

「……っ」

母さんよりも泣き出す。



「みつ兄ちゃん!?」「宏光!!」

騒ぎを聞きつけてAと母さんが来る。



Aが帰ってきた俺に気づくと

「たい兄ちゃーん!!」

声を上げて抱きついてくる。



…みんな心配してたんだ。

やっと気づく。

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shizu(プロフ) - りぃ☆彡さん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。やっと繋がりました。短編のつもりだったんですけどね…楽しみにしててくれて嬉しいです! (2020年3月18日 5時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - はとさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。ようやくエンディングに向かいます! (2020年3月18日 5時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りぃ☆彡(プロフ) - はじめまして。いよいよ主人公サイドと繋がりましたね!続きを楽しみにしています! (2020年2月20日 22時) (レス) id: de1f37d540 (このIDを非表示/違反報告)
はと(プロフ) - はじめまして。いつも楽しみにしています。玉ちゃんがこの後、どんな行動にでるのか楽しみです。 (2020年1月26日 0時) (レス) id: bf18adaee4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2019年11月24日 7時

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