秘めた想い T -side T- 47 ページ39
「A」
声をかけてもコーヒーをいれる手を止めないAは
俺の存在すら無視してる。
ほら
もうそれも強がりのサインじゃん。
「俺の好きな人の話、していい?」
声を掛けたけど返事がない。
だから勝手に話はじめた。
「俺の好きな人ね、俺を否定しないの」
話し始めたけどAは何も言わないで
コーヒーを作ってる。
「俺が何しても見守ってくれて、優しくて。笑顔がホッとするの」
話し続けてるけどAは何も言わない。
「俺か嫌がることもしないの。んで、いつも俺が喜ぶことばっかしてくれるの」
「そうだね、知ってるよ」
やっとAが口を開くけど。
Aが思ってる人とは違うよ?
「その子ね、本当にすごく優しくて。自分が大変な時も周りが大変そうだとそっちを優先しちゃうの」
「へー」
「本当はものすごく泣きたいのに我慢したり、すぐ強がるの」
「……」
また黙るA。
俺がキッチンまで行っても手は止めないけど顔が明らかに泣きそう。
まだ宮田の事だと思ってんのかな。
「今もそう。俺が気にすると思って勢いで『好き』って言った事を後悔して、でも俺の前では平気なフリしてるの」
いよいよ確信をつく事を言ったらさすがにAの手が止まる。
「俺が気にするのが嫌で、本当は自分が泣きたいのに我慢しちゃうの」
Aは小さく首を振ってる。
ほらまた無理してる。
「だから、普段支えてもらってる分その子が我慢してるのに気づいてちゃんと俺がフォローしなきゃダメなの」
俺が近づくとAは目に涙をいっぱい溜めて俺を見上げる。
「言うの遅くなってごめん。俺ね、宮田じゃなくて本当はAの事が好き。今はAが北山さんの事が好きなのかな、って思って言えなかった」
「………ホントに?」
Aが
目に溜めてた涙をポロッと零す。
「うん。ホントはAがずっと好きだった。ううん、これからもずっと好き」
Aの零れた涙を指で拭うと抱き締めた。
「…嘘みたい」
呟いて俺の背中に腕を回すA。
「嘘じゃないよ。ホントだよ」
ギュッて抱き締めたら胸元がじんわり暖かくなって
Aが鼻をすする音がする。
しばらく抱き締めてたら
ものすごくホッとして。
愛しさが溢れてきて。
「A」
ギュッて抱き締めて
「俺の彼女になって、ずっと一緒に居て?」
耳元で言うとズズって鼻をすすってから
「…はい」
鼻声でAが返事をくれた。
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shizu(プロフ) - りぃ☆彡さん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。やっと繋がりました。短編のつもりだったんですけどね…楽しみにしててくれて嬉しいです! (2020年3月18日 5時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - はとさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。ようやくエンディングに向かいます! (2020年3月18日 5時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りぃ☆彡(プロフ) - はじめまして。いよいよ主人公サイドと繋がりましたね!続きを楽しみにしています! (2020年2月20日 22時) (レス) id: de1f37d540 (このIDを非表示/違反報告)
はと(プロフ) - はじめまして。いつも楽しみにしています。玉ちゃんがこの後、どんな行動にでるのか楽しみです。 (2020年1月26日 0時) (レス) id: bf18adaee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:shizu | 作成日時:2019年11月24日 7時