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秘めた想い T -side T-46 ページ38

Aがいれてくれた
俺好みのコーヒーは
飲みだしたら止まらないレベルで美味しい。

でもコトン、と音を立てて
そのマグカップを一度置く。



「あのさ」

「…なに?」



俺が切り出してもAはこっちを見ない。



そりゃそーだ。

俺がもう取り返しつかないことしてるんだもんね。

ただ、俺はAのことがすごくすごく好きで
北山さんの事が好きになっちゃったって言うなら
取り返すまで頑張るつもりなんだから。



だって気づいちゃったんだもん。

俺は思ってる以上にAが好きだって。



「Aは俺と初めて会った時のこと覚えてる?」

「入社式でしょ?近くの席に居たよね」



やっぱり覚えてないんだ。

そしてこれは初めて君に話すよ?



「違うよ」

「え?」

「入社試験の時の鳥のフン、覚えてない?」

「………鳥のフン?」



少し考え込むA。



「あーー!」

思い出したのか大声を出す。



「思い出した?」

「思い出した!あれ玉森くんだったの?」

「ってことはA忘れてたの?」

「私もあの時は試験前で緊張してたし顔までは覚えてないよ!」



なんてびっくりしてるA。



「玉森くんだったんだね」

「うん。あれめちゃくちゃ助かった」

「今日まで黙ってたのに?」

「忘れられてると思って」

「確かに今の今まで忘れてたよ」



だいぶ前すぎるもんね。


自分も入社試験前なのに
てゆーかそーいうことを自然に出来るAのそーゆーとこが…



「好き」



Aを見て言う。




「え?」

「Aのそーゆー優しいとこ、すごく好き」



俺が言うと
Aはすごくガッカリって顔をして

「はいはい、ありがと」

コーヒーが入ってたマグカップを持って立ち上がる。



「えー!何でそんな反応?」

「当たり前でしょ?玉森くんが好きなのは宮田くんだもん」



Aはこちらを見もしないで
コーヒーのおかわりをいれてくれようとしてる。

コーヒーのおかわりは正解だよ?
喉かわいてたし。



でもそーじゃなくて!



「は?」

「さっきのことなら私はもう別に気にしてないから。同僚として『好き』とかなら十分伝わってるから」



そう言ってケトルにスイッチを入れてるAは
強がって言ってるわけじゃない顔をしてる。



けど
今の俺なら分かる。

これはAの負けず嫌いが発動中で
俺の前で悲しい顔をして俺が困るのが嫌で
無理してるってこと。




俺はそれが見抜けるくらい
君が好きになってるんだよ?

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shizu(プロフ) - りぃ☆彡さん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。やっと繋がりました。短編のつもりだったんですけどね…楽しみにしててくれて嬉しいです! (2020年3月18日 5時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - はとさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。ようやくエンディングに向かいます! (2020年3月18日 5時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りぃ☆彡(プロフ) - はじめまして。いよいよ主人公サイドと繋がりましたね!続きを楽しみにしています! (2020年2月20日 22時) (レス) id: de1f37d540 (このIDを非表示/違反報告)
はと(プロフ) - はじめまして。いつも楽しみにしています。玉ちゃんがこの後、どんな行動にでるのか楽しみです。 (2020年1月26日 0時) (レス) id: bf18adaee4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2019年11月24日 7時

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