すぐ近くにいる another story 4

秘めた想い T -side T- 32 ページ24

Aは実際
北山さんのことを
どう思ってるんだろう？

…そういえば前に好きな人いるって言ってたし、

それ北山さんのことじゃないの？



実際、Aは北山さんと何度かご飯行ってるっぽい。



打ち合わせ前に

「この前はありがとな」

「いえ、あの後兄が面倒で大変でした」

なんて2人しか分からない話をしたりすることが何度かあった。



ある日書類チェックをしてる時に
たまたま周りに人がいなくて2人きりになる。

…聞いてみていいかな。



「Aの好きな人って北山さんだったりするの？」

思い切って聞く。

『そうだよ』って言われるのが怖くて顔も見れないし不自然に声が上ずった。



「は？」

Aは突然の俺の質問に変な顔をする。



「随分前に言ってたじゃん『好きな人いる』って」



もう年単位で前の話だけど。

だからAもピンときてなかったのか
だいぶ経ってから

「……あぁ」

思い出したのか思い出してないのか少し微妙なリアクション。



「あの時は玉森くんのために嘘ついただけだよ」

『あの時』って言うくらいだからさすがに覚えてたみたい。
でも逆に俺がピンとこなくて少し考える。



あ、宮田にあやしまれたから嘘ついたってことか。



「そうなの？」

なんだ、じゃあ何でもないのか。



「どうしたの？急に」

逆にAに聞かれる。



そりゃそーだろう。

なんでそんな昔のこと聞いてきてるの？って話だよな。



「北山さんと仲いいからもしかして、って思って…はい、終わり」

チェックした書類を置きながらAの回答を待つ。



前に好きな人いるか聞いた時にAは即答だったのに
Aはしばらく考えこんでる。

おかしくない？



「ないよ、宏光先輩はお兄ちゃんと仲良かっただけだし」



しばらく経ってからAはそう答えるけど。



やっぱりおかしくない？

何でもないならなんで前に『恋してる？』って聞いた時みたいに即答出来ないわけ？
やっぱりAも何か思うとこがあるんじゃないの？



だからその週の週末

「今日うちに来ない？」

Aをうちに誘って餃子パーティしたけど
終電の時間になったら帰ろうとする。



「帰るの？」

「帰るよ電車あるし」

「…そっか」



前なら絶対泊まって帰ったのに。



残った餃子を冷凍しながら

「これ来週の週末食べよ」

Aから次の約束があるのは嬉しいけど
前までと違うAの態度に北山さんがチラつく。




本当は北山さんが気になってない？

秘めた想い T -side T- 33→←秘めた想い T -side T- 31

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す