すぐ近くにいる another story 3

秘めた想い T 3 ページ6

飲みに行くのを断ったら
今度は宮田くんは社食で一緒に食べようとしてくる。

私は元々誰と食べるとかしてなくて
同じタイミングで並んだ人と流れで食べることはあっても
固定の人とは食べてない。

同じ部の先輩達も
入社当初お昼は玉森くんフィーバーしてたから今更私を誘うのも、ってなったのか
特に誘って来なかった。

私自身気を遣われるのは好きじゃなかったから
特に困ってなかったけど。



「ねーAさん、一緒に食べない？」

宮田くんが声を掛けてくる。
その後ろには玉森くん。



今回は同じタイミングで並んだし
断るのも微妙な気がしたんだけど。

玉森くんがやっぱり気まずそうな顔をしてるのが
ちらっと見えた。



「…あっ！今日お弁当持ってきてたの忘れてた！また今度で」

あたかもいま思い出した！って顔をして
列からはぐれる。

「えー！Aさーん！」

宮田くんが呼んでるけど私は逃げた。



さすがに社食には戻れないし
コンビニの袋がバレても微妙だなと思って
お昼抜きで仕事をして早めに帰った。



でもまた次の日も宮田くんは私の後ろに並ぶ。
玉森くんも後ろに並んでた。

「今日こそいいよね？」

宮田くんは聞いてくるけど。



残念でした。

「今日はアドバイザーさんとランチミーティングなんて」

「えー！」

私の前にはアドバイザーの先輩がいる。



うちの会社にはアドバイザーっていう制度があって
新入社員には1年間2個上の先輩と月に1回食事をする制度がある。
ご飯を食べながらざっくばらんに会話をして悩みとかを聞いてくれる制度なんだけど。

今日はその日だった。



私のアドバイザーは宮田くんと同じ部の先輩で

「残念ね、宮田」

冷たく言う。



「うぅぅー、相手が先輩じゃ何も言えないっすー」

宮田くんも諦めてくれた。



「Aちゃんはあんまり同期と仲良くしたくないの？」

先輩にご飯を食べてる時に聞かれたけど

「多分私が1人だから気を遣ってくれてるだけで2人も本音は2人の方が楽なんだと思います」

そう答えたらものすごく笑われた。



「Aちゃんは優しいよね」

「え？」

「玉森くんが女の子と全く絡まないの見てるから気を遣ってるんだよね」

なんと先輩は私のことを見抜いていた。



でもそれなら話は早い。

「先輩もそう思いませんか？」

「んー同期ってやっぱり特別じゃない？一度くらいご飯か飲みに行ってみたら？」

そう言ってくれたけど。


あの玉森くんの顔を見て行こうなんて思えなかった。

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