すぐ近くにいる another story 3

秘めた想い T 2 ページ5

研修最終日。

いよいよ配属先の発表で
私は本社に配属された。

「うわA可哀想ー。玉森と一緒」

他の女の子達に言われたけど
私は玉森くんと話すことはないと思ってたから
特に気にしてなくて。

私以外に宮田くんも本社配属で
私と玉森くんは総務部
宮田くんは営業部に配属された。



「Aさんよろしくね」

「こちらこそよろしくお願いします」

宮田くんと挨拶する。
玉森くんも近づいてきた。

「よろしくお願いします」

そう挨拶すると玉森くんはペコって無言で頭を下げただけ。



玉森くんは本社に出社するとやっぱりアイドル扱いだった。

女性の先輩たちがキャーキャー言ってて
私は二の次で先輩たちが玉森くんに教えるのに集中する。

私はマニュアル見たり必要最低限のことだけ聞いて仕事をしていた。

ただ2週間もすると皆が玉森くんの冷たい態度に気づく。
そして「あの子生意気」って言い出す。



いやいや皆さんキャーキャー言ってたじゃないですか。



仕事にもだいぶ慣れてきた頃

「A」

玉森くんに呼ばれる。



玉森くんから話し掛けてくるとか初めてでびっくりした。



「宮田と飲みに行くけど行かない？」

って口では誘ってくれてるけど。



完全に嫌そうな顔をしてるのが分かる。



「いえ結構です。声掛けてくれてありがとうございます」



ペコっと頭を下げてからちょうど欲しい資料を取りに行きたかったから席を立つとその場から離れた。

玉森くんは宮田くんと2人の方が楽しいだろう。
あんな顔をするなら誘わなきゃいいのに。



それから少ししたある日。

「Aさーん」

宮田くんが話し掛けてくる。



「今度泊まりで出張行くんだけど申請と精算の仕方教えてー」

「はい」

申請用紙を渡しながら説明する。



「ありがとー！…ねぇ、今度タマと3人で飲みに行かない？」

説明が終わると続けて宮田くんが聞いてくる。



え？誰？

「タマ？」

「あー！ごめんごめん、玉森と」

宮田くんは玉森くんのことを『タマ』って呼んでるらしい。



「ここには同期って3人しかいないしさ。仲良くしよーよ」



そう宮田くんは言ってくれてるけど。



玉森くんの嫌そうな顔が離れなかったのと
宮田くんに誘われたら行くっていうのも玉森くんに失礼な気がして。



「宮田くんも玉森くんも同期なのは分かってるし飲みに行かなくても仲間だから大丈夫」

「えー！」


宮田くんはゴネたけど
あそこまで嫌そうな玉森くんとは飲みに行けないよ。

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