すぐ近くにいる another story 3

秘めた想い T 37 ページ40

とにかくずっと楽しかった。

玉森くんは宮田くんといる間ずっと笑ってて
宮田くんも楽しそうで
そんな2人を見るのが私は嬉しかった。

玉森くんが笑うと私も嬉しい。
だから私もずっと笑っていた。



帰る時に
宮田くんは新幹線のホームまで
見送りに来てくれた。

ホームで新幹線を待ってたら

「あ、お茶買ってねーや」

玉森くんが言ってカバンから財布を出してるけど

「私買ってくるよ」

最後に宮田くんと話せるように言ったら

「いーよ、A荷物見てて。なんか飲む？」

「…お水」

「ん」

玉森くんが行ってくれちゃう。



「タマとだいぶ仲良くなったね」

「玉森くんは私が楽みたい」

「あはは、確かにタマがよく言ってるよ『Aは楽』って」

残された宮田くんと話してるけど
玉森くんに申し訳ない。

ホントは玉森くんは宮田くんと話してたかったはずなのに。



「タマのことよろしくね、あんな態度だけどAちゃんのこと大好きだから」

「そんなことないよ。玉森くんは私のこと下僕か召使いだと思ってるでしょ」

「あははは、むしろそれは俺のことだって」

宮田くんは笑ってるけど。



いやいや違うから。

宮田くんは玉森くんにとって相当特別なんだよ？



「俺ね、ずっとこっちに残るかも」

宮田くんは急に落ち着いたトーンで話し出す。

「え？」

「今回の辞令は3年で戻って本社で営業課長するためのステップアップって言われたんだけだけど。俺そもそも営業そんなに向いてないの」

なんて少し寂しそうな言い方。



「それにここのみんな、 すごく後ろ向きでね。俺が変えたいって思ってるんだ」

「このこと玉森くんには…」

「ん、昨日話した。分かってくれて『頑張れ』って言ってくれたよ」

宮田くんは微笑んでるけど。



それって玉森くん相当無理してるんじゃない？

いま玉森くんはどんな気持ちなんだろうって心配になった。



「だからタマのことはAちゃんよろしくね」

「え？」

「タマさ、寂しがり屋だから誰かそばにいてワガママ言える相手いないとダメになるから」

「それは宮田くんの役目でしょ？」

「違うよ、Aちゃんだよ」

宮田くんはそう言って笑ってるけど私はピンときてなくて。

「宮田くんだよ」

「Aちゃん」

「宮田くん」

「もー！認めなさい！」


そう言って宮田くんに頭をわしゃわしゃされた時に

「ただいまー」

って私と宮田くんを遮って玉森くんが入ってきた。



やっぱり宮田くんに妬いてるじゃん。

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