すぐ近くにいる another story 3

秘めた想い T 21 ページ24

「驚いたけど引きはしないよ」

そう言うと玉森くんは
疑った顔をしてる。

何でだろう？



「好きなものは仕方ないよね」

「…ホントにそう思う？」

「うん」

「俺の事気持ち悪くない？」



不安そうに私を見る玉森くんに

「全然。むしろ今まで辛かったよね」

そう言うと玉森くんは
ものすごく驚いた顔をして私を見る。


そう考えると
玉森くんの入社当初の冷たい態度や昨日宮田くんがくっついてこようとした時に邪魔した理由も
宮田くんが私に構うことに嫉妬してたからだって分かった。



色々納得してる私に
少ししてから玉森くんは優しい顔で笑う。

「やっぱりAはすごいな」

「何が？」

「宮田と一緒。俺を否定しないよね」

「私はそんなことないよ。腹立つ時は腹立つもん」

「あー、そういえば半年前怒ってたね？」

玉森くんは思い出して笑ってるけど。



当時の私の心境を思い出したら私は全く笑えない。



「ほら、私いま玉森くんを怒りたいもん」

「あははははは、ゴメンね？」

「ダメ。先に笑ってるから反省してると思えない」

「ええーーっ」



玉森くんは困った顔をして

「Aに嫌われたら俺辛いんだけど」

なんて甘えて言ってくる。



よく言うよ、全然口聞いてなくても大丈夫そうだったじゃん。



「ねー、怒らないでー」

なんて言いながら玉森くんは私の後ろからおぶさるように背中からのしかかってくる。



ものすごくドキッとした。



でも玉森くんは私を好きなんじゃない。

これは私が玉森くんが宮田くんを好きなことを否定しなかったからホッとしてこうして甘えてるんだろう。



そう思ったらものすごく切なくなってきた。

玉森くんが私に甘えてるのは
玉森くんのそばにいる宮田くんとセットなわけで。



私な訳じゃない。



「玉森くん」

「なに？」

「重い」

「いいじゃん、さっき散々俺にくっついてたでしょ。今度は俺がくっつかせて」

なんて言って玉森くんがぎゅってしてくるからホントにドキドキしたけど。



そうだね。

玉森くんはずっと不安だったよね。

きっとこんな気持ち誰にも言えてなかったから。
言えてホッとしたら甘えたくもなるか。



だから怒るのをやめてそのまましがみつかせたままにして
玉森くんが不安だった分を安心させるように私に回ってきた腕をぎゅってした。



「いいよ、これからは辛かったら私に言ってくれて」

「………いいの？」

「うん」



玉森くんが今まで不安だった分、私が支えるよ。

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