すぐ近くにいる another story 3

秘めた想い T 8 ページ11

「はいどーぞ」

「お邪魔します…」

結局玉森くんの家に招待された私。

人の家とか珍しくてキョロキョロしたいけど
玉森くんの部屋はキョロキョロする必要がないくらい必要最低限のものしかない。



「シャワーとか浴びたいなら色々貸すけど」

「ホント、お構いなく」

「いやでも暑いしスーツダルくない？なんなら明日車でおうちまで送るからTシャツと短パンぐらい貸すよ」

玉森くんはそう言ってスーツのジャケットを脱いで「暑い暑いー」とか言いながら
自分の着替えを出しつつタンスをゴソゴソしてるから私でも着られるものを探してくれてるのが分かる。



「ならお言葉に甘えて借りていい？」

「ん、いーよー。はい」

そう言ってすぐTシャツと短パンを渡してくれるから
やっぱり最初から貸してくれる気だったんだね。



ならもういっそ。

「下のコンビニで買い物してきていい？」

下着やらメイク落とし欲しいな。



「うん、俺シャワー浴びてるー」

「何か買ってくるものある？」

「アイス食べたい。シャワーの後食べよ」

「あ、いいね」



なんて話てるけど。



…ふと我に返ると。

私、何してんの？

お付き合いもしてない人の家に
泊まるわシャワー借りるわ。



ていうか、これってまさかソウイウ展開に…

思わずじぃっと玉森くんを見ちゃうと

「ん？」

って普通に返してくる。



玉森くんは優しい。

コンビニ寄りたいから駅に行くとか言ってたけど
家の下にコンビニあったし。
ホントは心配してくれてたんだなって分かる。



「アイス、何がいい？」

「何でもいーよ、美味しそうなの」

「わかった」



私は玉森くんからまたさらにクロックスを借りて
コンビニに買い物に行く。



シャワーを借りてさっぱりした後、

「どうする？寝る？眠い？」

って玉森くんに聞かれたけど。



久しぶりに人の家とか。

「…なんだか楽しくなってきちゃって目が冴えてきた」

彼氏いたのも2年前だしそのあとは女友達の家にしか泊まりに行ってないし。

緊張もあるけど何だか異空間な感じがして
落ち着かないのが半分、逆に楽しいのが半分だった。

「あははは、なんか分かる。人が泊まりに来るとか俺も久しぶりで眠気飛んじゃった」

なんて言ってアイスを取りに行ってくれる。



「どうする？なんかお話しとかする？」

「確かに玉森くんとそんなに話してないもんね」

「宮田がいると宮田がずっと話てるしな」



ということで、

玉森くんとのおしゃべり大会が始まった。

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