拾ってください。2

Flamingo 17 ページ33

「助かるわー」

「なら良かったです」



クリスマスイブ。

先生が明日のクリスマス会の準備が終わってないって言うから
レッスンの後で手伝うことにした。



「アンタ、クリスマスに予定ないの？」

「はい」

「裕太君は？」

「仕事らしいです」

「あ！あぁー！……そうなのね」

先生は何かに気づいたような反応をしてから頷いてる。



何だろう？

「何かあったんですか？」

「ううん何も」

先生は首を振って笑うと生徒に配る用のお菓子のラッピングを広げた。



「じゃあこれ手伝ってもらっていい？」

「はい」



先生が包むのを真似して包む。

「上手いわね」

「そうですか？」

「助かるわーホント」

「任せて下さい」



雑談をしながらしばらく包んでいた。



「アンタ年越しは？」

「ずっとこっちです」

「岐阜帰らないの？」

「はい。帰ったらお見合いさせられるんです」

「お見合い！？」



先生がびっくりして手を止めてる。



「まぁ田舎なんでよくある話です」

「はー！そうなの！？」

「弟もお見合いで結婚したんで」



でも弟もお嫁さんも幸せそうだから
否定するつもりはないど。

私は嫌だった。



「彼氏いるって言えばいいじゃない」

「彼氏ですか？」

「裕太くん」

「裕太は彼氏じゃないですよ」



…だって今日だって年越しだって別にだし。
裕太は一緒に過ごすつもり無かったみたいだし。



「ふふふふふ」

先生が笑ってる。



「クリスマスも年越しも裕太君と過ごせなくて嫌なの？」

図星で何も言えなくなって下を向くと

「あははは！アンタにもそんな可愛いとこあるのね！」

先生がさらに笑う。



ものすごく恥ずかしい。



「まぁクリスマスや年越しは価値観だからね。家族で過ごすって人も居るし所詮他人の誕生日って人も居るし」

「…裕太にも他人の誕生日って言われました」

「でしょー？裕太くんアンタの誕生日は泊まってたんじゃないの？」



先生までクリスマスは他人の誕生日って言い出すから
確かにそうかな、なんて思ってきた。



「私だって他人の誕生日は恋人より可愛い生徒と過ごす方が楽しいからこうして過ごしてるんだし」

「なるほど」

「裕太くんだって仕事って言ってるんでしょ？そう言ってるなら信じてみたら？」

「……はい」



頷くと先生は優しく笑う。

先生とこういう話をしたことなかったから
こんな顔を見た事なくて新鮮。



あれ？

私、裕太と今日は別だけど年越しも仕事で別って言ったかな。

Flamingo 17 T→←Flamingo 16 T

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す