拾ってください。2

Flamingo 16 T ページ32

クリスマスと年越しの話なんて
確かにしていなかった。

Aは楽しみしてたんだ。
申し訳ないなー。



一緒に過ごせないって分かったら
明らかに落ち込んでる。

でもゴメン、仕方ないんだ。

お仕事でどうしても来れないんだもん。





「お正月の朝、来てもいい？」

「お正月は実家に帰る」



そりゃそうだよね、お正月は家族と過ごすよね。




「クリスマスは？」

「その日は先生のクリスマス会のお手伝いに行くから」

「…そっか」

もう全然ダメじゃん。



だからクリスマス過ごしたがってたのかな。

あー、こんなにしょんぼりさせちゃうくらいなら
最初からクリスマスと年越しは別々だよって言えば良かった。


「じゃあ今日はいっぱいくっつくね」

年内は今日が最後なんて急に言われたら
心の準備が出来てなさすぎて。

とにかくAにくっついていたくなる。



くっついてくる俺にAはいつもなら怒ったりウザがるのに特に抵抗しない。
むしろ何だか元気がないように見えて。



「どしたの？」

しばらくして聞いても

「なんでもないよ」

本当は何か言いたいことがある顔をして首を振る。



クリスマスも年越しも別ってことで
がっかりさせちゃったかな。
寂しくさせちゃったかな。

わからないからとにかく黙ってずっと抱き締めて離れないようにした。



寝る時間が近くなってから
一緒にお風呂に入ったけど
えっちなことしないでお風呂に入ってる時もただくっついていた。

それだけでゆうたくんも反応しちゃうけど

「たまにはこーゆーのもいいね」

なんてAが言ってくっつきてきたから
今日くらいはこのままじゃないとだめかなって思った。



ベッドに入ってからAが寝るまでずっと背中をポンポンしてたら
しばらくして寝息が一定になる。

だから俺も寝ようかな、と思ってキスをしたら
ポロッて涙を流した。

「A？」

声を掛けても返事がない。



寝ぼけてるみたい。



多分本当にクリスマスが別なのが寂しいんだ。

仕事なのを分かって我慢してくれてたのか
疑われてるのか
黙ってるから分からなかったけど
どっちにしてもAを嫌な気持ちにさせてたんだろう。

あーもう本当にゴメン。



そっと涙を拭うけどずっとポロポロ流れてる。



やっぱりクリスマスとか年越し一緒に過ごせる人の方がいいのかな。

なんて思ったら
朝起きた時にしばらく会えないから挨拶して行きたかったけど
Aは寝てたから起こさないようにそっと家を出た。

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