嘘だらけの婚約者 Y -side Y- 15 ページ47
「ただいまー」
ミツが喫煙席に行ってしばらくすると
Aが帰ってくる。
「おかえり」
「疲れたー。美味しい賄い食べたいー」
カウンターに入りながらAが言う。
Aの仕事ぶりが評価されて最近仕事が増えてるらしい。
Aが評価されるのは嬉しいけど
前までは店が忙しくない時間に他愛もない会話で過ごした時間や
家に帰って夜過ごす時間が
Aが疲れてる分短くなる。
「先に食う？」
声をかけると
「ううん後にする。みんな休憩入れてる？」
なんて言ってくれてて。
ガラス張りの喫煙席から何やらリアクションをしながらミツが一生懸命『早く言えって！』って口パクて言ってる。
…わかってるってば。
「休憩は大丈夫。むしろいま忙しくないし腹減ってるならAが先に食うか？」
「うん」
「何食いたい？好きなもの作るよ」
「……え？」
「疲れてんでしょ？今日は俺の奢り」
そう言うと警戒する顔をしてるA。
「…私のお気に入りのカップを割ったとか？」
「は？」
「もしくは休憩室に置いておいた最後の1個だったルマンド食べた」
そう言って距離を取るA。
「何言ってんの？」
「え？渉が何もないのにそんなこと言うとか珍しいなと思って」
「……失礼だろ」
Aにとって俺のイメージってそんな？
ミツが口バクで『頑張れ！』って言ってるけど。
…わかってるってば。
「何食う？」
「渉のオムライス！」
『俺の』って言葉にニヤけるけど。
「…お前さぁ、ここでしか食えないモン言えよ」
パエリアとかさ。
うちのオーブンじゃ作れないやつの方がいいだろ？
「えー、ダメ？」
「ダメじゃないけどさ」
「渉のオムライスだってそう何回も食べられるとは限らないじゃん？」
なんて言う。
何でだよ？
同じ家に住んでりゃ何回だって食えるじゃん。
ここで確信した。
ホントにAは出て行く気だ。
思わず止まった俺にAが不思議そうな顔をしてる。
多分無意識で言ったんだろう。だから
「オムライスでいいんだな？」
慌てて言うと
「んっ」
ものすごく嬉しそうなA。
これで出て行くとか言うわけ？
全然思いもしなかった。
昔は人の気持ちとか態度を「よく気づくね」って言われてたけど
肝心な自分についてはいつも全く気づけなくて。
結局今回も気づけてなかった。
「あのさ」
「ん？」
「今日帰った後少し話せる？」
そう言うとAの顔が完全に強ばった。
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もち?太郎(プロフ) - shizuさん» いえいえ大丈夫ですっ！！移行先行ってまいります！(笑) (2019年11月3日 8時) (
レス) id: 3f59dac3ce (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - nanacoさん» コメント気づいてなくてごめんなさい。どんどん長くなってて短編の予定が止まらなくなってます (笑）ようやくゴール見えてきました。 (2019年11月3日 4時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - もち?太郎さん» コメント気づいてませんでした！遅くなってごめんなさい。北横ホント好きで。見ててほっこりしちゃいます。 (2019年11月3日 4時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - あーっ、やっぱり渉は主人公のことを好きだったんだ！｡ﾟ(ﾟ^ω^ﾟ)ﾟ｡先が楽しみすぎます、優しい横尾さん好きすぎます笑 (2019年9月2日 20時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
もち?太郎(プロフ) - shizuさん» うへへ。嬉しいです(笑)また舞祭組ちゃんかな？(笑)北横はなんだろう。横千以上に親子(笑) (2019年8月31日 19時) (レス) id: 3f59dac3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：shizu
| 作成日時：2019年8月12日 8時
