嘘だらけの婚約者 Y 12 ページ25
「さっきはありがとうございます」
お会計の時に
彼女から声を掛けられた。
「イチゴものすごく美味しかったです！」
「ホントですか？良かったです」
素直に言えた。
でも彼は相変わらず気まずそう。
そりゃそうだろう。
結婚1ヶ月前に他に好きな人が出来たって別れを告げた側なんだから。
同僚とかに結婚式の招待状も送ったあとだったから私は居づらくなって会社を辞めて
他の会社で契約社員になった。
私と別れてすぐこの子と結婚したのかな。
じゃないと別れて1年ちょっとしか経ってないのにこの子のお腹がこんなに大きいとかおかしいよね。
てことは。
私と付き合ってた期間被ってたのかな。
だから彼はずっと気まずそうなんだ。
色んな事が繋がった時。
逃げたくなってレジのスペースで思わず一歩下がりそうになって背中が何かとぶつかる。
「A、ホールトマトのストック何処だっけ？」
背後から渉の声。
てことはぶつかった相手は渉か。
何だろう、急に聞いてくるとか。
いつも自分で補充してるのに。
「いつもの棚の中だよ」
「マジか、見つけらんなかったー。探すの手伝って」
少し甘えた声で言ってる渉。
「…仲いいですね」
彼女が言うと
「そう見えます？なら良かった！」
渉が嬉しそうに笑ってる。
「俺が学生の時にコイツに片思いしてて、この前同窓会で再会してから想いが再燃しちゃって。ここで働いてもらいながらいま猛アタック中なんです」
なんて渉が言い出すからびっくりして振り返ると
渉は優しい顔をして笑ってる。
…あ。
話し合わせろ、って意味かな。
「へーー！素敵ですね！」
「ベタ惚れなんです。気が利くとことか特に」
なんて言って渉に肩に手を回された時。
渉の演技だって分かってるのに不覚にもドキッとした。
それがリアルだったんだろう。
彼が顔を歪めた。
あ。
彼が悔しい時にする顔だ。
何の立場でそんな顔をしてるの？
腹が立った。
けど
「これ良かったら次回のサービス券です。半年期限だけど特別にもう1年延ばしておきますね」
渉が自分のハンコで訂正印を打ちながら言う声を聞いてたら冷静になれた。
「ぜひ今度は3人でお越し下さい」
渉が彼女のお腹に目線を送って言うと
「はいっ」
嬉しそうに笑ってる彼女。
彼はこっちを見る事なく店の外に出て行く。
パタン、とドアが閉まった時に
「頑張ったな」
渉が頭を撫でてくれて泣きそうになった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 319人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もち?太郎(プロフ) - shizuさん» いえいえ大丈夫ですっ！！移行先行ってまいります！(笑) (2019年11月3日 8時) (
レス) id: 3f59dac3ce (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - nanacoさん» コメント気づいてなくてごめんなさい。どんどん長くなってて短編の予定が止まらなくなってます (笑）ようやくゴール見えてきました。 (2019年11月3日 4時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - もち?太郎さん» コメント気づいてませんでした！遅くなってごめんなさい。北横ホント好きで。見ててほっこりしちゃいます。 (2019年11月3日 4時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - あーっ、やっぱり渉は主人公のことを好きだったんだ！｡ﾟ(ﾟ^ω^ﾟ)ﾟ｡先が楽しみすぎます、優しい横尾さん好きすぎます笑 (2019年9月2日 20時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
もち?太郎(プロフ) - shizuさん» うへへ。嬉しいです(笑)また舞祭組ちゃんかな？(笑)北横はなんだろう。横千以上に親子(笑) (2019年8月31日 19時) (レス) id: 3f59dac3ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：shizu
| 作成日時：2019年8月12日 8時
