嘘だらけの婚約者 Y 11 ページ24
「A？」
入口で立ち尽くすその人は
私の元カレだった。
声が出ない私。
「…どーしたの？」
同じく立ち尽くす彼の後ろから
ひょこっと現れる可愛らしい女性。
あ。
今のカノジョなのかな。
「いらっしゃいませ」
ようやく言えた。
「お煙草は吸われますか？」
「禁煙で」
その女の人がお腹をさする。
あ、マタニティだ。
臨月まではいかないくらいかな。
ズキッとする。
「…こちらに」
喫煙席が離れた席に案内してからカウンターに目をやると
渉が心配そうに私を見てた。
戻ってきた私に渉が聞いてくる。
「知り合い？」
「元カレ」
出来るだけ冷静に答える。
「そか」
そう言っていつも通りのリアクションの渉。
「俺行こっか？」
渉が言うけど。
なんか逃げてる気がするから。
「いい、行く」
「ん」
私が答えると水とトレイの上におしぼりを乗せたセットを用意してくれた。
2人のテーブルに行くと
メニューを見て楽しそうな彼女と
少し気まずそうな彼。
よく見ると2人の左手の薬指にはお揃いの指輪。
…そっか、結婚したのかな。
ズキッとした。
「ご注文は」
声が震えそうになる。
負けるな。
ここで負けるな。
自分に言い聞かせる。
「もう少し悩みます」
彼女の方が言う。
見るとパンケーキのページを見てすごく悩んでるみたい。
可愛らしい。
「お決まりになりましたらお声掛けください」
そう声を掛けると席を離れる。
手も声も震えそうになる。
カウンターに戻ると渉が優しく笑ってる。
「……偉いな、Aは」
偉い？
私が？何で？
「俺だったら逃げてるけど。逃げずに向き合ってさ。カッコイイ」
渉がそう言ってくれたから泣きそうなくらい嬉しくて。
そう言ってくれる渉が近くに居るなら普通に接客出来るな、と思った。
うん、もう大丈夫。
ホールに戻ってたまたま2人の近くに行ったタイミングでまだ彼女が悩んでたから
「いかがですか？」
自然に声を掛けることが出来た。
「パンケーキで悩んでるんですけど…」
見るとチョコバナナとイチゴで悩んでるみたいだった。
「イチゴがオススメですよ。イチゴ、さっき1つ味見したんですけど今日のイチゴものすごく美味しいです」
「ホントですか？」
パッと顔を輝かせた彼女の顔が可愛くて。
きっと彼はこの顔に惚れて
いまの彼女に決めたんだろうな、って思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 319人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もち?太郎(プロフ) - shizuさん» いえいえ大丈夫ですっ！！移行先行ってまいります！(笑) (2019年11月3日 8時) (
レス) id: 3f59dac3ce (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - nanacoさん» コメント気づいてなくてごめんなさい。どんどん長くなってて短編の予定が止まらなくなってます (笑）ようやくゴール見えてきました。 (2019年11月3日 4時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - もち?太郎さん» コメント気づいてませんでした！遅くなってごめんなさい。北横ホント好きで。見ててほっこりしちゃいます。 (2019年11月3日 4時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - あーっ、やっぱり渉は主人公のことを好きだったんだ！｡ﾟ(ﾟ^ω^ﾟ)ﾟ｡先が楽しみすぎます、優しい横尾さん好きすぎます笑 (2019年9月2日 20時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
もち?太郎(プロフ) - shizuさん» うへへ。嬉しいです(笑)また舞祭組ちゃんかな？(笑)北横はなんだろう。横千以上に親子(笑) (2019年8月31日 19時) (レス) id: 3f59dac3ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：shizu
| 作成日時：2019年8月12日 8時
