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特別な日に 11 ページ44

「こんばんはー」

「はーい、いらっしゃい」



びっくりするほど沢山の長い？キスの後
何事も無かったかのように裕太が連れて来てくれたのは
海沿いにある小さなイタリアン。

裕太は常連さんらしく
店員さんもものすごく仲良さそう。



「いつもんとこねー」

「ありがとう」

店員さんが誘導しなくても
裕太は入口から2Fに上がる階段に向かうのに続いた。



2Fに上がると席は2席しかなくて
海が見える窓際にセットされていた。

テーブルの上には可愛いキャンドル。

裕太が席までエスコートしてくれた。



「どうぞ」

「ありがとう」



席に座ると裕太が正面に座る。



改めて顔を見たらさっきのキスを思い出しちゃってなんか恥ずかしい。



目が合うと裕太は少し照れて笑って

「…なんか改めて顔見ると恥ずい」

そう言って顔を逸らす。



「え？」

「さっきのチュー思い出しちゃう」

って言いながら裕太の耳が真っ赤になってる。



あ。それなら。

「また一緒」

「ん？」

「私も恥ずかしくて」

「えーお揃いじゃん」

そう言って2人で照れて笑う。



また同じ気持ちになってるのが嬉しい。

ってことは、
本当はどこかで分かってる。



私、すでに裕太のこと好きなんじゃない？



裕太とのキスも嫌じゃない。
むしろもっとしていたい。

そして同じ気持ちなのがやっぱり嬉しい。



でもやっぱり気になるのは

裕太がホントに私でいいのかと
私の将来が決まっていないこと。



「いらっしゃーい」

階段を登って料理を持ったさっきの店員さんが
改めて挨拶してくれる。


親と同世代くらいの女の人だった。



「どんどん運んでいい？」

「ん、お願いー」

「はいはーい」

そう言って私と裕太の間に美味しそうな前菜の盛り合わせを置いてくれる。



「ママは元気？」

「うん。たぶん」

「多分って」

「ねー、最近会ってないのー」

「え？先月来たよ」

「…俺に会うよりココに来る率のが高いね」

店員さんと裕太が笑ってる。




「じゃあ、ごゆっくり」

「あいあーい」



裕太がゆるーく挨拶してまた二人きりになる。



「食べよっ」


裕太が言うけど
食べるのが勿体ないくらい綺麗に盛られてる前菜。

私、テーブルマナーとか詳しくないけど。



「ね、これで食べよ」

困ってたら裕太がフォークやナイフが入ったセットの中からお箸を取り出した。

「俺もテーブルマナー知らないの」

そう言ってニコッて笑う。




やっぱり裕太と同じ気持ちだ。

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