拾ってください。

特別な日に 6 ページ34

10月になると
裕太はしょっちゅう来る。



毎回何かを持ってきてくれる。

「お誕生月間だからね」

なんて言って必ず何かを持ってきてくれた。



「はいこれー」

最初に来た時に小さいポリタンク。
中には液体。



「…何？これ」

「柔軟剤」

「え？」

「タオルがいい匂いって言ってたでしょ？だからコレが同じ匂いの柔軟剤」



蓋をあけてみると確かに甘い香り。



「ね？怪しいの解消された？」

「……うーん」

「えー？だめ？」

裕太が自分でこんなに甘い香り選ぶ？？



「これ、なんて柔軟剤？」

「………わかんない」



ジト目で見る私になんだか裕太が焦ってる。



「ねぇ、何でそんな目？」

「…だって」

「完全に信じてないよね」

「だって自分でこんな香り選ぶ？裕太が？」

「……」



やっぱり裕太はこれを買ってくれる女の子が居るんじゃないの？



裕太は

「…俺んとこに来るのこの状態なんだもん」

ってポリタンクを少し上げる。



本当に？

でも疑いだしたらキリがないからまぁいいか。
いい匂いだし使ってみよう。



「じゃあまた欲しいってなったらどうしたらいい？」

「ん？俺に言ってー」

「………分かった」



それならしばらく柔軟剤買わなくていいかな。





来る度にスイーツとかを買ってきてくれて。



そして今日は

「きのこきのこーー」

しいたけやマイタケを持ってきた。



「どうしたの？」

「今日キノコ狩り行った」

「…へぇー」

「すごい山だった。めちゃくちゃ疲れた」



山に登るの？

裕太が？



「お仕事だよ」

不思議そうな顔をしてる私を裕太が笑ってる。



…ますます裕太の仕事が謎。



でもこんな立派なしいたけ珍しい。



「しいたけ食べる？」

「食べよっか」

「肉厚だねー、普通に焼くだけで美味しそう」

バターと醤油もいいけど
オーブントースターでもいいかな。



焼いて持っていくと

「美味しー」

もりもり食べる裕太。



「ね、今日泊まっていい？」

「……ん？」

「明日ね、俺おやすみなの。」

「私仕事だよ？」

「でも納豆トースト食べたいのー」



にこにこしててご機嫌な裕太。



寝る時も普通に
ソファじゃなくて
ベッドに入ってきて

「ごろにゃーご」

謎の鳴き声。



「何？」

「ペットだから」

「…ふーん」

「ねねね、いいでしょ？一緒に寝て」



そう言って私の返事を聞かずに寝ちゃう。



山登りで疲れたのかな。




そして

裕太と寝るのが普通になってきちゃってる。

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