拾ってください。

特別な日に 2 ページ26

彼氏作るなって何？

しかも何で裕太にそんなこと
言われなきゃいけないの？



「そもそも彼氏欲しいなんて思った事ないけど」

「そなの？ならいいや」

「でもそれを裕太にとやかく言われるのは違うよね」



そう言うと「ん？」って不思議そうな顔をしてる裕太。

「何で？だって俺はAのペットだし」

「は？」

「夏の暑い日にAに拾ってもらったペットだから」

「…2週間も飼い主ほっとてほっつき歩いてるペットなんて何処にいるのよ」

「ここに居るじゃーん」

ドヤッ！て裕太は胸を張ってる。



…嘘でしょ？



「意味わかんない」

「そう？ってかまた結局2週間ほっといたの怒ってるけど。やっぱり寂しかった？」



裕太はそう言って嬉しそうに私の頭を撫でてくる。

私は裕太の肩くらいまでしか背がないから子供扱いされてるみたい。



「寂しかったら何なの？」

腑に落ちないけど。
とりあえず聞いてみると裕太はニコッて笑うと

「ん？可愛いからめっちゃ甘える」

そう言ってギューって抱き締めてくる。



待って！
私こんなことされたことないっ！



「やっ！ちょっ…何っ！！」

パニクってる私に

「なにってハグじゃん」

裕太はそう言ってさらに頭まで撫でてくる。



無理無理無理ー！



「やだっ！！！」



裕太を突き放すと裕太は笑っててて

「…なんだかどっちがペットかわかんないね」

「は！？」

「なんかネコみたい。ほっとくと甘えよーとして甘やかすと離れて」

ってまた私をハグしようとしてる。



裕太はこんなの慣れっこなんだろーね。
これだけイケメンならモテるだろうし。



「裕太には別に私じゃなくても女の子なんて沢山居るでしょっ！？」

「いないもーん」

「うそつきっ！絶対慣れてるもん！！」

「慣れてないって」

「そんなに綺麗な顔してるのに！？周りが放っておかないんじゃないの！？」

「…え、それA俺の事褒めてる？」

「………」



何だか話せば話すほど墓穴掘ってる。

そんな私に裕太が微笑んでて。



何だか嫌だ。
裕太は余裕で。
私ばっかり焦ってて。



でも仕方ないじゃん。

私彼氏とか居たことないし。



ピアノばっかで友達も居ないし
同級生はライバルばっかだったし。



裕太は絶対私をバカにしてる。



でも何か言うとまたボロが出そうで黙ってたら
何も言えない悔しさで涙が溢れて来ちゃって。



そんな私に裕太が驚いて

「あーーごめん、泣かすつもりじゃなかったんだけど」

って慌ててる。

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