拾ってください。

特別な日に 1 T ページ25

さすがに舞台が始まると
集中しなきゃだったから
Aには連絡しなかった。


ようやく休演日があるから
終わった後に行ってMステまで過ごしたいな。



そう思って明後日行くって連絡すると

A知らない

ってすぐに返事が返ってくる。



知らない、とか言いながらものすごく返信早いし。



ホントは連絡待っててくれたんじゃない？



すぐに電話したけど全然電話に出ないし
出てくれた電話のAは超不機嫌で。



不機嫌なのがホントは俺からの連絡を待っててくれてたことと
ほっとかれてたのが寂しかったのが伝わって
笑いが止まらなくなっちゃう。



こんな可愛い子居る？



結局怒らせて電話を終えたけど。



寝る前に最近毎日聞いてるAが弾いてくれた
JUDY AND MARYの「Hello! Orange Sunshine」を聴く。



クラシックを弾くAも好きだけど
こーいう楽しい曲を弾くAも素敵じゃない？



なんて思いながら2日後。



予告通りAんちに向かうと

知らないって言ってた割に色々揃っていて。

「今日は帰ってよ」

とか言いながらソファにはクッションとブランケット。



泊まっていいってこと？



「こ、これは私がお昼寝したのっ」

「へー、ベッドそこにあるのに？」

「そうっ」

必死なAが可愛いくて。



「ね、ハグしていい？」

「は！？」

「欧米で再会した時するじゃん」

「ここは日本です！絶っっ対ダメっ！」

「あはははは、いいじゃん」

言いながら追いかけると

「やだやだやだやだやだやだ」

言いながら逃げるAが面白くて。



相当元気を貰った。



そうこうしてたらAの携帯が鳴る。

「はい」



Aんちはテレビがついてないから無音で
電話の声も少し聞こえちゃう。



聞こえてくる声の主がオトコなのもわかっちゃう。



「大丈夫です。場所分かりますから自分で行きます」

なんて答えてるA。



想像するにどこかに行くのに相手は一緒に行こうって言ってるっぽい。



「はい、では明日18時に。はい、失礼します」



すごく塩対応で電話を切ってる。



「…彼氏？」

「違うし。居たら裕太家に入れないし」

「じゃあ彼氏候補？」

「違いますー」

「でも向こうからは誘われたりしてるの？」

「…まぁ」

そこは否定しないんだ。



途端に怖くなった。
彼氏が出来たらここに遊びに来れなくなっちゃう。



「やだ」

「は？」

「彼氏作らないで」

「え！？」



Aが驚いて俺を見る。

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