サイボーグな彼女 9

わからない？ 11 ページ7

だいぶ経ってから

「そろそろ寝よっか」

そう言って離れる北山さんがやっぱりまだ悲しそうな顔をしてる。



今日1日を振り返る。

ライブのリハーサルと
雑誌の原稿チェックと
テレ朝でバラエティ番組のスタジオ収録。


特に何もなかったはずで。



となると。

もしかして好きな人と何かあったんですか？



「北山さん」

「んー？」

「違ったらごめんなさい。好きな人と何かあったんですか？」

そう聞くと北山さんは少し驚いた顔をしてる。




……当たりだ。




でも北山さんはすぐに普通の顔をして

「んー、どうかな」

笑って言ってるけどどこか悲しそうな顔をしてる。




「着替えてくる」

そう言って北山さんは私の頭を撫でるとルームウェアがあるバスルームに向かう。



その背中が本当に寂しそうで本当はもっと甘えたいのかと思ってしまった。




「北山さん」

「ん？」

私が呼び止めると北山さんは振り返る。



「もう少し必要ですか？」



腕を広げてみたら北山さんは少し笑って

「んー、今はこっちの方がいいや」

私に近づくと私の頬に音を立ててキスをする。



……え？



驚いてる私に北山さんは笑って

「ん、やっぱ元気出た」

って言い残すとバスルームに消えた。




え？

いま何が起きた？




呆然としてる私は北山さんが着替え終わって出てくるまでそのままで。
出て来た時も私が同じ場所にいたから北山さんが笑ってる。



「なになにー？俺のこと待っててくれた？」

北山さんに背を向けると私の背後に回ると後ろから抱き締めてくる北山さんに

「違います」

抗議するけど北山さんは聞かずにそのまま寝室に向かって

「いつも寝にくくない？」

今日は後ろから抱き締めてベッドに入る。



「まだわからない？」

しばらくして北山さんが言う。

「何がですか？」

「俺の好きな人」



北山さんの口から『好きな人』って言われてズキッとする。



ものすごく胸が痛い。
何でだろう？



「分からないです」

むしろ分かりたくないのかもしれない。
私がそう答えると

「そっかー」

ため息混じりに言って私を抱き締めると北山さんはすぐ寝息を立ててる。

相変わらず早い。


後ろ抱きは確かに息は楽だけど北山さんが見えなくて寂しくなったから
北山さんの方に向き直す。


「んーー」


北山さんが寝にくかったのか眉間にシワを寄せて唸ったけど知らない。

私はいつもの定位置につくと北山さんに抱きついた。




ここに居られるのあと何回かな。

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