サイボーグな彼女 9

はじめての。6 ページ49

「俺ダメだー」

北山さんが言う。



「Aが好きすぎてダメだ」

「え？」

「Aのことになると欲張りになる。これじゃダメだ」



ダメって言われて胸がギュッてなる。
お別れってことですか？



「…もうダメですか？」



涼さんに言われた時はここまで辛くなかったのに。
北山さんだとこんなに辛い。

ダメだ。
本当に北山さんが好きだ。



腕をほどいて北山さんを見る。

泣きそうになってる私に北山さんが笑う。



「ゴメン、そーじゃねーよ。俺がもう少し大人になんねーとダメってこと」

そう言ってチュッて音を立てて軽くキスをする。



ホッとしてるとまたキスの雨。

チュッ、チュッ、ってリップ音がする。

少しお酒の味。
北山さんも飲んでるのかな。



「なー」

キスの合間に北山さんが言う。

「はい」

私も合間に答える。



「今日泊まっていい？」



北山さんがどこか熱い目で私を見る。



「……えっと」



言いにくい。

けど言わなきゃ。
でもなんて言っていいか…。

北山さんの上着をギュッと掴む。



「…何もないなら」

「ん？」

「あの、今日私………」



生理なんです。
俯いてなんて言おうか迷ってると

「……あっ」

北山さんが察する。



「えーっと…大丈夫？お腹とか」

急に慌ててる北山さんに

「はい」

何だか私まで動揺してくる。



「とりあえず冷やしちゃダメなんだろ？部屋帰ろ」

「…はい」

北山さんの『行こう』じゃなくて『帰ろう』が嬉しくてドキッとする。



時間差で部屋に入る。

先に部屋に入って待ってると
北山さんがまっすぐリビングにやって来て私の横にドカッと座ると私を抱き締める。


そしてすぐに腕を解いて

「A」

北山さんがまっすぐ私を見て呼ぶ。



「はい」

「好きだ」

北山さんが言うから

「私も好きです」

答えるとまた抱き締められる。



「色々ごめんな」

「私もごめんなさい。心配かけて」

「ホントにね！外に逃げられちゃうと俺不利だからさー」

北山さんがそう言って揺する。



最近この揺するやつよくしますね。
気持ち良くて好きなんですけど。



「せめて寝室に立てこもるとかにして」

「わかりました」



ギュッて抱きつくと北山さんが頭を撫でてくれる。

「あ、今日はここがいいかな」

そう言って腰を撫でるからビクッてしちゃう。



「かーわいいっ」

そう耳元で言うからまたビクッてすると

「…そうだったな、耳弱いんだよな」

かぷって北山さんは耳を口に含む。

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