サイボーグな彼女 9

わからない？ 23 ページ31

びっくりした。

北山さんが好きな人が自分なんて
思いもしなかった。




「なんだろうね、俺たち」

笑いながら北山さんが言う。



確かに。

誰に失恋したの？って聞いてきたってことは
北山さんも私が他に好きな人居るって思ってたって事で。

お互い違う人が好きだと思ってたんですね。



そう思ったら私も面白くなってきて

「……なんですかね」

笑っちゃう。




北山さんがふと真剣な顔をして見つめてくる。

私も見つめ返した。



吸い込まれそうな北山さんの瞳。

髪をクルクルする手が止まって一瞬優しい目になった、と思ったらフワッと近づいてくる北山さん。



………あっ。



次の瞬間には北山さんの唇が自分の唇に重なっていた。


重なったのは一瞬。



「…しょっぱ」

北山さんがはにかんで笑う。



私が泣いてたからですね。

ごめんなさい。



謝ろうとしたらまたフワッと北山さんが近づく気配。
目を閉じると唇が重なった。


今度は北山さんの唇の柔らかさを感じられるくらい
少し長めに。



ちゅっ、と音を立てて離れる唇。



そっと目を開けるとものすごく近くに北山さんの顔があって私をじっと見てる。



「なぁ」

しばらくして北山さんが言う。



「はい」

「これ、夢じゃねーよな？」

「私も聞きたいです」



そう答えたら北山さんがまた笑って唇が重なる。

ちゅっ、ちゅっ、て音を立てて何回も重なったかと思ったらそのまま抱きしめられる。



久しぶりの北山さんの腕の中。

ここにまた戻ってこれた。
それだけで涙が零れる。



「…あっ悪ぃ、痛い？」

北山さんが腕を緩めた。
確かに階段で打ったところが少し痛い。



でもそれより。



私は首を振ると北山さんの背中に腕を回す。

「…もっと」

ぎゅってしてほしいって言いたいけど声にならない。
痛くてもいいからぎゅってして欲しい。



北山さんは笑うとあぐらを解いて
足の間に私を挟んでさらに抱きしめてくれる。

そしてまた何度も唇が重なる。



何回キスしたか分からない。



唇を重ねた時にふと唇に北山さんの舌先を感じる。

歯と歯の間をそっと開けるとあっという間に絡まる舌。


「…んっ…」



声が漏れちゃって恥ずかしくて北山さんの服を掴むと
北山さんの腕が首の後ろに上がってきて唇から逃れられなくなる。



深くて長い優しいキス。


ものすごく気持ちいい。



北山さんの服を掴んでいた手を離すと私も北山さんを抱き締めた。





……ずっとこのままでいたい。

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