サイボーグな彼女 9

わからない？ 20 ページ25

売店に行くフリしないと
と思って1つ上の階に行って飲み物だけ買う。

近道をしようとしてエレベーターじゃなくて階段に向かうと
後ろから思い切り突き飛ばされる。



えっ！？



と思ったのも束の間で階段を転がり落ちる。

途中の踊り場で受け身を取って見上げると男の人。



顔をよく見るとこの前の楽屋泥棒。



痛くて声を出せずにいると

「お前、まだ藤ヶ谷くんと別れてないのか？」

そう言う。




…え？

この人が犯人？




その人が階段を降りてくるから何とか立ち上がって階段を降りて控え室の階がある廊下に出ると
目の前に例の北山さんが片思いしてるスタッフさん。

この人がいたら危ない。



「すみません、誰かを呼んできて下さい」

小さくそう言うと驚いてるけどその私の後ろに私に殴りかかろうとしている男の人を見て

「はいっ！」

そう言って走り出してくれたのと男の人が私に殴りかかってきたのを避けたのはほぼ同時。



良かった、彼女は無事だ。



そうホッとしたらまた殴りかかってこようとしてきたから避ける。

背後に回られそうになったから避けようとしたけど羽交い締めにされる。


男の人は180cmくらいあって身長差で身体が浮いた。

怖い、と思ったけどここで投げ飛ばされたら危ないと思って
足を振り上げて男の人の足のスネ目掛けて踵で蹴飛ばす。


「いてっ！」


そう言って手が緩んだから着地すると左足からついてバランスを崩して少し捻る。



やっちゃった、前と同じ足。
でも痛がってる暇はない。



向き合った時に

『…お願いだからもうこんな危ないことしないで』

前の時にそう言った北山さんの顔を思い出す。



逃げなきゃ、と思った時に

「Aさん！左に避けてっ！」

声がする。



咄嗟に左に避けたら声の主は杉山さんで、男の人目掛けてタックルする。



ドスンっ！と大きな音を立てて倒れる2人。



「杉山さんっ！」

慌てて駆け寄ると杉山さんは男の人を後ろから馬乗りして両手を固定する。

男の人が足をバタつかせてたから私が足を固定した。



音と騒ぎを聞きつけて人が来たのと
北山さんと藤ヶ谷さんが来たのと
スタッフさんが男の人を呼んで来たのがほぼ同時で
あっという間に人だかり。



警備員さんも来てとりあえず私と杉山さんは自由になる。

はーっ、と杉山さんとため息をつく。



「…何が起きたの？」

ホッとした瞬間に怖い顔の藤ヶ谷さんと北山さん。



2人の顔の怖さに私は顔を引き攣らせるしかなかった。

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