サイボーグな彼女 9

わからない？ 19 ページ23

一応被害届というか
相談記録を残して
その日は帰る。

脅されてるのは私なので
私が出して帰ることに。



武田さんがついてきてくれた。



「まぁお前も大変だな」

「…すみません」

「や、分かってるから。藤ヶ谷と何ともないことくらい」

そう言って武田さんは笑ってくれる。



「とりあえず仕事中は出来るだけ1人になるな。藤ヶ谷とは出来るだけ離れろ」

「はい」

「…くらいしかねーよな」

「えぇ」

としか私達も言えなくて。



本当に申し訳ない。

良かれと思って送っていったらこんな事になるなんて。




次の日のテレ朝での収録。
今日は7人一緒だった。



「おはようございます！」

いつものスタッフさん、つまり北山さんの片思いの相手がやって来る。

「「「おはようございます」」」



「今日は2本撮りなのでよろしくお願いします」

相変わらず感じがいい。

「お願いします」

今後を見据えて私がメインになるらしいのでスケジュール確認をしてると手には紙袋。

チラッと覗く北山さんのパーカー。



またズキッと胸が痛む。



ダメだ。仕事中だ。



「では、本番よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

頭を下げあって彼女が出る。



その時にチラッと北山さんを見た気がした。



「Aー、タバコちょーだい」

北山さんが言う。

「はい」

渡すと北山さんがタバコを吸いに外に出た。



……あぁ。

そっか、会いに行くんだな。



またズキッと胸が痛む。



「俺もタバコー」

玉森さんが行こうとするから

「あれ？玉森さんのタバコ今日預かってないですよ？」

いま杉山さんは武田さんと他の打ち合わせに出ている。
私がカバンを漁りながら言うと

「えーー！！」

玉森さんが顔をしかめている。



…本当は持ってるんですけど。



「買ってきますよ」

「えー！ありがとう。助かるー」

ニコッて笑ってる玉森さん。




…ごめんなさい、後でお渡ししますから。




控え室の外に出る。

喫煙所と反対方向に歩いて北山さんたちに会わないようにしよう。



とりあえず売店に向かうフリを…と思って歩き出すと控え室のドアが開く。

「Aさん」

控え室の外だから苗字呼びで私を呼ぶ藤ヶ谷さん。



「…ごめんね、今回色々迷惑かけて」

「いえ、全然大丈夫です」

ニコッて笑うと少しホッとした顔。



「俺もタバコ行ってくるね」

「…行ってらっしゃいませ」

藤ヶ谷さんはタバコを自分で持っている。



仕方なく見守る。

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