わからない? 8 ページ1
電話を掛けてきたのは炭谷さんだった。
『アンケートの返信早いね』
「早い方がいいと思ったので」
『にしても朝6時って』
「北山が初めての雑誌が多かったので戻しがあってもいいようにとさっき仕上げました」
『へー』
炭谷さんが感心してる。
「もし戻しや質問があったら仰って下さい」
『分かった』
「では失礼します」
そう言って切ろうとしたら
『待ってよ』
炭谷さんに止められる。
『1度会えない?』
「会うつもりはございません」
『忙しいの?』
「ええ」
少なくとも炭谷さんに会うための時間はない。
『…俺ずっと後悔してたんだよね。Aちゃんと別れたこと』
昔みたいにちゃん付けで呼んでくる炭谷さん。
『Aちゃんは仕事で疲れた俺のためを思って会うのやめようって言ってくれてたのに』
本当はそうだった。
その当時は本当に炭谷さん疲れてて会っても寝てばかりだったから会わないようにしてたけど
「そんなことないです」
そう言うとおかしなことになりそうだから違うフリをした。
『でもゼミの皆が教えてくれたよ。Aちゃんがずっと我慢してたことと、俺の事絶対悪く言わなかったこと』
私は皆に話してないから
皆が勝手に想像して盛り上がってるだけだと思うけど。
『だから後悔した。別れた時にAちゃんは俺の事何とも思ってなかったでしょ?ってAちゃんのせいにして別れた事』
確かに別れる時に炭谷さんに言われた。
「Aちゃんは俺の事好きだったこと一度もなかったでしょ?」って。
それを私は否定も肯定も出来ずにいたから
お別れすることになった。
「でも私が炭谷さんに合わせて会おうとしなかった事も事実なんで」
自分の時間を削って会おうなんて思ってなかったからその地点で炭谷さんのことを好きじゃないんだって思う。
『俺はずっと好きだったよ、Aちゃんのこと』
炭谷さんにそう言われてもピンと来なかった。
ドキッともしなかった。
それが答えだと思う。
いまこの電話よりも早く行きたいところがあった。
「ありがとうございます。でも私はそうじゃないんで。失礼します」
もう用件は終わってると判断して一方的に切った。
電話を切って寝室に戻ると北山さんが
「…はよ」
声をかけてくれる。
ここだった。
炭谷さんとの電話よりここに戻りたかった。
いま私が一番居たい場所は抵抗する私を黙って抱き締めて眠る
いつか失う予定の北山さんの腕の中だった。
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咲良(プロフ) - shizuさん» 絶対(笑)まぁそういう系だと恥ずかしいですねw (2019年7月7日 21時) (レス) id: 29a9983703 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - ヒロメロンさん» コメントありがとうございます!キュンキュンまでが長くてクレームもいただいてたりしてますがのんびり更新しますのでまた是非読みに来て下さいませ! (2019年7月7日 21時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - ぴのさん» 仕事してて書きたくなった時の葛藤がヤバいです 笑 ほどよく頑張って更新します! (2019年7月7日 21時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - ATさん» 長かったので甘々が自分でも染みます。また是非読みに来て下さいませ! (2019年7月7日 20時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - risaさん» 正直コメントいただいた頃が一番ニヤニヤしながら書いてました。楽しかったですー。次の10はもう少しニヤニヤしながら書けそうです! (2019年7月7日 20時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:shizu | 作成日時:2019年6月18日 3時