サイボーグな彼女 9

わからない？ 21 ki ページ28

収録を終えて控え室に戻ると
居るはずのAは居なくて。



「Aと杉山なら帰ったぞー」

武田ちゃんが言う。



アイツ病院行ったかな。
帰りは寄って強引に行かせるかな。



タバコ吸いたいけどAが居ないとタバコが…なんて思ったけどアイツはきちんと1箱置いてってくれていた。

一服しに向かうとついてくる藤ヶ谷。



喫煙所につくなり

「俺のせいでごめん」

頭を下げてくる。



「何がだよ、藤ヶ谷悪くねーだろ」

「でも俺のせいでAさん階段から突き落とされて…」

「お前のせいじゃねーよ。むしろ男のファンまで増えてるってお前の魅力が色んな層に伝わってるってことだろ？」

「…でも…」

「いーの。お前が気にすることねーから。Aも絶対そー言うし。…はい！この話終わりっ！」


ニッて笑うと藤ヶ谷がいつもの笑顔を見せる。



「ありがとう」

「ん」



しばらく2人でタバコを吸ってると



「あのさ」

藤ヶ谷が声を掛けてくる。



「ん？」

「Aさんが髪切った理由聞いた？」



藤ヶ谷の言葉にびっくりする。



え？
A、藤ヶ谷には髪切った理由言ったの？

俺には教えてくれなかったのに？



「…聞いてない。聞いても教えてくんねーし」

「そうなんだ」

「え？藤ヶ谷知ってんの？」

「うん。失恋だって」



………は？




あいつ、いつの間に誰に恋してんの？

だから一緒に寝かしてくんなかったわけ？




「いつ？誰に？」

「そこまでは聞いてないけど」

「……そか」




そう答えるけど。

もう頭が真っ白だった。



送ってもらって車を降りるとその足でAんちに向かう。

チャイムも鳴らさずに玄関を開けると寝室のドアが開いてた。



何も言わずに上がって寝室を入るとAが涙でぐちゃぐちゃの顔で俺を見てびっくりしてる。




…なんだよ？

何を思って誰を思ってこんなに泣いてんの？
しかもルームウェアやっぱ違うの着てるし。




「…何やってんの？」

自分でもびっくりするくらい低い怖い声。

「……足が痛くて」

湿布を見せながら言うA。

「嘘つけ」

さすがに今は違うって分かる。



「病院行った？」

「…行ってません。お祓いに行きました」

淡々と答えるとこと場所がAらしくていつもなら笑うけど今日は全然笑えねー。

ため息をつく。



「…つーかさ。何してんの？」

「何がですか？」

「どんだけ俺に隠し事してんの？」



ここでようやくAが嘘をついてる時の顔を見せた。

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