サイボーグな彼女 9

わからない？ 17 ページ19

食事会が何とか終わって。


北山さんは二次会に。

藤ヶ谷さんと武田さんと炭谷さんは帰ることになって
北山さんは二階堂さんと千賀さんと一緒に小林さんが送ってくれることに。

道順的には武田さん、藤ヶ谷さん、炭谷さんの順に送る予定だった。



武田さんを送った後で

「Aさん、少し打ち合わせしたいから炭谷さんを先に送って貰ってもいい？」

藤ヶ谷さんが言う。



「…あ、それなら私ここから電車で帰りますよ？」

「いえこちらから誘ってるんで大丈夫です。帰り道にミーティングってよくあるんで」

遠慮する炭谷さんに藤ヶ谷さんが返してるけど
今までミーティングしながら帰ったことなんてないですけど。

ミラー越しに藤ヶ谷さんを見ると目配せしてる。



話を合わせろってことかな。



「では炭谷さんから送ります」

「よろしく」



炭谷さんを降ろした後、藤ヶ谷さんと2人になる。

しばらくして藤ヶ谷さんが言う。

「ごめんね、Aさんが炭谷さんと2人になるの嫌かなと思って気を回しちゃった」

ニコッと笑って言う藤ヶ谷さん。



気を遣ってくれたんだ。



「ありがとうございます」

「いーえ。今日もうちの子たちがしつこくて大変だったでしょ？お疲れ様」

藤ヶ谷さんが微笑んでる。

さっきの質問攻めのことかな。



「助かりました」

「いや、俺はただAさんが本当に好きな人と一緒になってもらいたいだけだから」

そう言って藤ヶ谷さんが笑うけどすごく温かい気持ちになるくらい優しい笑顔。



でも。

私が好きになった人とは両思いになることは無いので。



少し泣きそうになる。



「別に、好きでいてもいいんじゃない？」

藤ヶ谷さんが言う。

「無理に忘れようとしても辛いしさ。好きなのを我慢する方が辛くない？」



そうですか？

少し考える。



「でも藤ヶ谷さん」

「ん？」

「好きな人が好きな人と幸せになれることを祈るために自分の気持ちを我慢しないと」

「何その昭和な発想！」

藤ヶ谷さんが笑ってる。



…失礼じゃない？



「だって好きな人が幸せな方が嬉しいじゃないですか」

「そうだけど」

「だから好きな人とその好きな人が幸せになってくれた方がいいですよね？」

「だからそこがAさんは身を引き過ぎなんだってば」

私が言うと藤ヶ谷さんが答える。



「好きな人の好きな人がAさんになればいいだけの話でしょ？」

なんて言う。




そんなの無理ですよ。

彼女がいい人過ぎて勝てる気はしない。

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