サイボーグな彼女 9

わからない？ 16 ページ17

ツアーが始まって2日目。

炭谷さんが見学でやってくる。



終演後控え室まで挨拶に来てくれた。



「北山さんめちゃくちゃカッコ良かったです！」

「…どうも」

北山さんが引くくらい興奮してる炭谷さん。

「俺、キスマイの宣伝もう少し増やせないか探します！レーベルの宣伝さんと連携して映画の主題歌の宣伝増やします！キスマイの魅力伝えます！」

「ホントですか？ありがとうございます」

北山さんが返してるけどそれは確かにありがたい。



そんな話を聞きつけた武田さんがただでさえ炭谷さんを相当気に入っているので

「今日軽く食事行くんですけど。スタッフも何人か居るんでもし良かったら炭谷さんもどうですか？」

なんて誘ってるから

「お邪魔じゃなければ是非」

炭谷さんが喜んじゃってる。
私は正直、来るんですか？っていう気持ちだったんだけど


「えー！来て下さいよ是非！ねっ！Aちゃん！」

二階堂さんまで言う。



そして私にふらないでほしいんですけど。
2人だけじゃないし来れるならいいんじゃないかな。

…できれば席は離れたいけど。



答えに困ってたら北山さんが

「お時間あるなら是非」

代わりに答えてくれる。



「じゃあ伺わせていただこうかな」

炭谷さんが笑う。




嫌な予感はしてたけどお店に行くと私と炭谷さんは隣同士。

周りを二階堂さん、千賀さん、小林さん、酒井さんが固める。



これは大変なやつだ。



「学生時代のAちゃんってどんなでした？」

「今より怖かったですか？」

「その頃から一本背負いしてました？」

皆から質問攻めに合う炭谷さん。



…いやいや皆さん、私普通なら一本背負いしないですから。



さすがに一本背負いは否定してくれたけど
全てにちゃんと褒めながら炭谷さんが答えてくれてて恥ずかしい。



「Aちゃんも炭谷さんもモテたんですか？」

千賀さんが聞くと

「僕はモテなかったけどAさんは少なくとも僕にはモテてたよ」

お酒も入ってるからかついに炭谷さんが言い出す。

「「「ヒュー」」」

盛り上がる皆さん。


やっぱり面倒な展開に顔が強ばる。



けど

「でも今はもういい仕事仲間だよね」

炭谷さんがこれ以上話が広がらないように先手を打ってくれた。

「…そうですね」

事実だし私もそう返す。



「えー！運命の再会とかないの？」

「さすがにドラマじゃないからね」

千賀さんのツッコミをスルーしてくれる炭谷さん。





良かった。

ホッと胸を撫で下ろす。

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