サイボーグな彼女 8

わからない？ 2 ki ページ40

帰りの車。

今日1日周りは何故かAと元カレを応援するモードになってて
気にしてないフリと少し乗っかるフリとを絶妙に使い分けて
Aに気がないフリをしながら仕事するのに気を遣っていつも以上に疲れた。


Aも嫌そうだったし元カレについての真意がわからなかったし聞くのも怖かったから
寝たフリをする。



信号待ちのアイドリングストップで静まる車内に響くバイブの音。
しかも長い。



これ電話だな。

しかもこのバイブのリズムは私用だ。




そんなことも分かっちゃう自分が嫌だ。



ブランケットに顔の半分くるまる。



しばらくして

「北山さん着きましたよ」

目的地に到着するとAが言う。

「んあー」

あくまでいま起きたフリをする。



「今日お迎え頼める？」

「はい」

「多分夜中まではいかないはずだから」

「はい」

「わりぃ、さんきゅ」

せめてこの後ソイツと会えねーようにするのが精一杯で。




夜迎えに来て貰った時に

「あんがとなー」

車に乗り込むと疲れた顔のA。



「どした？大変だった？」

「雑誌用のアンケートの量が多くて。まとめるのに必死でした」

「マジか。ありがとな」

最近はAが質問内容や雑誌のコンセプトをわかりやすくまとめてくれるから
答えるのが簡単で助かる。



「全部で50問以上あるんですけど」

「うげっ」

「口頭で答えるのと北山さんが手書きするのとどっちがいいですか？」

そう聞かれて閃く。




「明日さー、昼で終わるじゃん。強化合宿しねー？」

「強化合宿ですか？」

「次の日もオールナイトニッポンまで仕事ねーし。一緒にやって認識も合わせれば問い合わせ来ても俺もAも答えやすいよな」

「…なるほど。私も答えて貰ったものをそのまま打てるし」

Aも納得してる。



つーか、A。
意味分かってる？



「分かってるよな？」

「何がですか？」

「合宿だぞ？」

「はい」

「泊まるんだぞ？」

「ですよね？」

平然と答えてるA。



…いいんだ。



「ご飯何がいいですか？」

「んー、和食っ！」

「分かりました」

普通の反応のAに嬉しいような寂しいような。



いいの？
俺いいの？

Aのそばに居ていいの？



「合宿って響き懐かしいですね」

少しワクワクした感じのAが可愛くて。



「俺デザート買う」

「甘いもの苦手なのにですか？」

「アイスなら良くね？」

「食べます！」



少し楽しみにしてくれてるのがすげー嬉しい。

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