サイボーグな彼女 8

そうじゃなくて 28 ページ35

11月も終わる頃。



「おめでとう」

武田さんから1枚の紙を渡される。
おめでとうなんて思ってる様子もない
全然笑ってないむしろ怖い顔。



「何ですか？」

「北山の週刊誌の記事」

言われて全身の血が凍る。



2つ折りになってるからものすごく緊張する。
恐る恐る開いてみるとただの目撃情報で。



ものすごくホッとする。



「まー、アイツもさすがに最近は真面目にやってると思うけどな」

急に武田さんの声が柔らかくなるから
からかわれたんだなってようやく気づく。



「…そうですかね」

真面目なんだかなんなんだか。



結局一緒に寝るのが1ヶ月2回までって言ってたのに3回に増えてるんですけど。

しかも『甘える』を覚えた北山さんは最強で
私も私で北山さんと寝るのが気持ち良すぎて強く断れなくて完全に悪い流れ。

北山さんの冬物のルームウェアは私とペアのもので北山さんって私の何？って勘違いしそうになる。



そんな状態だったから
冒頭の武田さんの怖い顔は完全にバレたと思ってしまった。



「マネージャーくらい信じてやれよー」

「信じられるなら信じたいですけどね」

「あはは、冷たっ！まぁでも北山はそれくらいの方がいいかもな」

私の言葉に武田さんは爆笑してるけど。



北山さん本人から好きな人居る宣言されてる私としては
いつ何が載るか心配で堪らない。






仕事の帰りの車で北山さんに報告すると

「ほぉーら大丈夫だろー？」

ものすごくドヤ顔。



「そもそも俺は女っ気ねーの」

「……」

私は女性にカウントされてないってことですね。



「なーなー、もう大丈夫ならメシ食いに行っていい？」

「ダメです」

「うわ怖い顔」

そう言って笑ってる北山さん。



「でも今日お腹ゆるいから優しいメシ食いたいんだけどなー」

北山さんはそう言って顔を歪めてる。

「そうなんですか？」

確かに今日トイレの回数多かったな。



「卵雑炊食いたい」

「…」

作ってあげたいけど。
また泊まられたら困る。


「明日1日ロケだし今日治しておきてーんだけどなー」

そう言うから作ってあげたら案の定寝ちゃう。
仕方なくリビングに布団を引いて寝かせた。



私は寝室で寝ていたけど朝起きるとリビングにいるはずの北山さんがベッドの中にいた。



「え！？」

驚いて起きると北山さんも私のその声で起きた。

「…んー？…あれ？悪ぃ間違えてここで寝ちゃった」

起きてあくびをするとリビングに向かう北山さん。




…おかしいですって。

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