サイボーグな彼女 8

そうじゃなくて 25 ki ページ30

一緒に寝ていいって言ってくれるなら
お言葉に甘えて。

「んじゃ俺ここ片付けてるからシャワーどうぞ」

そう言って腕を解いたけど
離れないA。



…どした？



Aの中で気持ちを整理してんのかな。

少し待った方がいいかな。
俺も離れたくねーし。

もう1回Aを抱き直す。
やっぱり最高に気持ちいい。



しばらくしたらAがしがみついてくる。

何が不安かわかんねーけど
大丈夫だよ。
そんな気持ちで背中をゆっくりポンポンする。



どうしよう。

ものすごく幸せでたまらない。



どういう気持ちかはわかんねーけど
Aが俺を求めてくれてる。

それだけは何となく分かる。


良かった。
求められる存在になれたってことだ。



「Aー」

無意識に呼ぶ声が甘えた声になっちゃう。



「俺、頑張れそう」

「何をですか？」

「これからの色々」



忙しくなる。
これから仕事は大変だ。

でも頑張れる。

隣にはAがいる。



「Aのおかげ。ありがと」

「私何もしてないですよ？」

「そんなことねーよ」

相変わらず声がキョトンとしてるAが可愛い。




「怪我しても俺の上着守ってくれたことも、モデルさんとのこと心配してくれたことも」

それだけじゃなくて

「こーして俺のワガママ聞いてくれたことも」

いま一番気持ちいいAの首元に顔を埋める。



「…ずっと俺のそば離れないで」



いつもなら離れねーって言うけど
逆にAにも離れてほしくなくてつい言う。



「あははは、ごめん。何か甘え過ぎた」



なんかダセーかな。



言って離れたらAも離れて俺を見る。
その顔が少しびっくりしてた。



そんなに俺変な顔した？



そしたらAは

「私は北山さんのマネージャーですから」

そう言う。



そうじゃなくて。

俺が求めてるのはそれじゃねーよ。



「ずっとマネージャーでいれるかは分からないですけど居れる間はずっと一緒にいます」



…そうじゃねーんだよ。


俺が求めてるのはマネージャーのAじゃねーんだよ。




でもいまそんなこと言ってもAは困るだけだから

「んはははは、ありがと」

笑ってAの頭をポンポンする。



俺たちちゃんと近付けてる？

Aが俺の気持ちに気づいてくれる日来る？



そして答えてくれる日なんて本当に来る？

分からなくてめちゃくちゃ不安になる。




でも目を合わせたら少し照れてるのが分かったから
前よりは0じゃねーかな。

なんて思った。

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