サイボーグな彼女 8

そうじゃなくて 22 ページ23

「はーい、まず少し暗くします」

乾杯を終えると北山さんはまたリビングの電気を
この前みたいに常夜灯に変える。



「…で？なんで俺がモデルさんのこと好きだと思ったワケ？」

北山さんがグビっとビールを飲んで聞いてくる。



…背のことと裕香さんのこと。
どっちなら怒られないかな。



「考えないで思ったことをさっさと言いなさい」

そう言って北山さんは北山さんの両手の手のひらで私の頬を挟むとグイッと自分の方へ向けた。



「……ぶちゃいくっ」

そのまま私の頬をぐりぐり回してクククッて笑う北山さん。



そうですよね。

モデルさんみたいに私は可愛くないし。
裕香さんみたいな顔でも雰囲気でもない。

別に可愛いって言われたいワケではないですけど
北山さんの周りの女優さんやモデルさんと比較されても困るし。



何だか悲しくなってきたし
自分の周りの人と比べる無神経な北山さんが嫌になる。



やっぱり男の人は苦手だ。
可愛い女の子は可愛がるのに。

私はからかう対象になるんだよな。



「…ん？どした？」



北山さんが心配そうに私の顔を覗き込む。

明らかにテンションを下げちゃった自分が悪いんですけど。



「どうもしないです」

そう言って北山さんから目を伏せて逸らしたら

「さっきから隠し事が多いですなAさんは」

そう言って私の顔をグイッて上に上げて北山さんの目線と合うようにする。



「今日は俺が納得する答え全部聞くまで帰らないからな」

そう言ってドヤ顔をする北山さん。

「明日は昼からだし時間もタップリあるし」



それ、私にメリットあります？

北山さんは謎が解けていいかもしれないですけど
私何もいいことないですよ。



そう文句言おうとしたら私の顔を触ったまま

「…久しぶりだな」

「え？」

「こーやって近くにいるの」

なんて言うから言葉に詰まった。



「言っただろー？俺、Aが足りてねーの。出来るならしばらくこうしてたいっ」

そう言ってものすごく優しい顔をして私の頬を摘んだり撫でたりして顔を触ってる。

しばらく私もされるがままになってたら

「あーダメだ」

北山さんは言いながら私から顔を逸らす。



ダメって言われてズキッとなる。

「何がですか？」

恐る恐る聞くと

「Aがめちゃくちゃ可愛い」

北山さんからまさかの回答。



そしてじっと私を見た後で

「…やっぱり我慢出来ねー。少し好きにさせて？」

って言うと私の返事を待たずにふわっと抱き締めてくる。

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