サイボーグな彼女 8

そうじゃなくて 21 ページ21

一度拒否されたのに
北山さんが見える位置に座らされて
少しお話してたら

一昨日モデルさんとスパにいたのは偶然って言われる。

しかも他にもタレントさん居たとか。



「…デートだと思ったのか？」

「はい」



頷くと盛大にため息をつく北山さん。



「あのなぁ」

「はい」

「俺のこと何だと思ってんの？」

「………」



そう言うけど。

私と違って北山さんは人好きの人だから
北山さんが人に好かれるように
北山さんが人を好きになることあると思ってるんですけど。



「あれだけ女の人と接するのダメって言われてAとの時間も削ってんのにデートするわけねーだろ！」

「そうですか？」

「もー！何でそんなに信用ねーの？」

言いながら笑っちゃってる北山さん。



でもモデルさんと北山さんがそういう関係じゃないことは分かったけど。

「でも北山さん、片思いしてるんじゃないんですか？」

「はぁっ！？」

ものすごくびっくりしてる。
でも北山さんはカード捨ててなかったですし。



私の反応に北山さんは少し考えて

「もしかして電話番号書かれたカードのこと言ってる？」

「…はい」

「あーはいはい。あれはー、まぁ色々あって受け取ったもののゴミ箱に捨てようとしたら…って！ちょっと待て！！」

北山さんは言いかけて止まる。



「なんでAがカードのこと知ってんの？」

「この前サービスエリアで貸して下さった上着に入ってました」

玉森さんとの内緒の話だからどう言おうか迷ってあくまで私が北山さんのカードに気づいただけにする。



「……あ、そ」

北山さんはまたため息。



さすがに私にも北山さんが何を言いたいか分かった。

北山さんが口を開いたから私も口を開く。

「「確認しろよー」」

ハモる私たち。



「…分かってるなら何でしねーんだよ」

北山さんが面白くなさそう。



「北山さんは彼女が好きだと思っていたので」

「だから！何を根拠に！？」



言わなきゃダメですかね。

「すごくお綺麗だしスタイルもいいし」

あと彼女はモデルさんだけど背が低いし。
でもこれは言えない。

あともう一つ言えないことが。



「…それと？」

北山さんが言う。

「まだ言い足りてねーみたいじゃん」

不満そうに私を見てる。

言い足りてないわけじゃないんですけど。
むしろ言いたくないんですけど。




そんな私に北山さんは少し笑って洗い物を終えて手を拭くと

「何飲むー？」

飲み物を用意しだしてある意味この話の延長宣言。

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