最強の味方 ページ42
Aside
携帯を触ってたアコちゃんが顔を上げる。
「ねえAちゃん」
「何？」
「昨日、太輔と手でも繋いだ？」
「えっ！？」
びっくりして変な声になる。
ちょうど信号待ちに。
「なになに？繋いだの？」
キラキラした顔で迫るアコちゃん。
なんで？なんで知ってるの？？
知り合いでも通ったの？？
「なんでそんなこと知ってるの？誰か見てたの？どこから見てたの？」
「タレコミがあってね」
めっちゃいい顔してるアコちゃん。
どこから見た？？
頭ポンポンも…
え！？ちょっと待って！！
「え！頭ポンポンも？見られてる？」
私が言うと、アコちゃんがニヤニヤする。
「へー。頭ポンポンもしたんだ」
「え！！！！」
「太輔からは『俺の手はマネージャーに負けた』としか来てないけど？」
は！？たいぴーが言ったの！？
バカなの！？
いやバカだよね！？
アコちゃん弄り倒すに決まってるの分かってるよね！！
「…アコちゃん、カマかけたのねっ」
ニヤニヤしてるアコちゃん。
あーいやだ。
やっちゃった。墓穴掘ったー。
「良かった」
アコちゃんがいう。
「何が？」
「太輔の行動に動揺してくれたのが嬉しい」
「…え？」
穏やかな顔になるアコちゃん。
「矛盾してるの分かってて言うんだけど」
「うん」
「太輔に動揺してくれて嬉しくて」
「…そりゃファンだもん、動揺するよ」
「ほんとにそれだけ？」
アコちゃんが言う。
ドキっとする。
「…それだけだよ」
「好きになっちゃダメって思ってない？」
気づいてたんだ。
「………思ってない」
多分、声が震えてた。
でも認めるわけにはいかない。
例えアコちゃんでも。
信号が青になった。
そっとアクセルをふむ。
「そっか」
アコちゃんが言う。
それ以上なにも聞かなかった。
もうホテルに着く。
「Aちゃん、ひとつだけ約束して？」
「…何？」
「…辛くなったら言ってよ？」
こっちを見ないで、前を見たまま言う。
…アコちゃんは、私の気持ちもお見通しなのかな。
でも、聞かないってことは私の決意も察してるのかもしれない。
「うん」
ちょうどホテルに着いたから、
アコちゃんの方をちゃんと向いて言った。
アコちゃんも頷く。
心強かった。
でも、
「あ！着くって連絡するの忘れてた！！」
って慌てて携帯を出すいつも通りのアコちゃんに、思わず笑ってしまった。
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作者名：shizu
| 作成日時：2018年10月16日 18時
