無意識 ページ35
朝8時。
俺はマネージャーの部屋にいる。
「いただきまーす」
ルームサービスのトーストをかじる。
「昨日遅かったな」
「うん、ドライブ行ってきた」
「あれから?」
「うん。俺のワガママで」
マネージャーがびっくりしてる。
「Aちゃん、今日ほとんど寝てないんじゃない?」
「うん、そう。だから運転よろしく」
「…そのつもりではいたけど…」
マネージャーは何か言いたそう。
…やっぱ連れ回したこと責めるかな。
それとも好きになること止めるかな。
「…何?」
やり過ぎた自覚しかない。
むしろ俺は怒られた方がいい。
言いたいことを言ってもらおうと思って聞く。
「静岡行き決まってからずっと思ってたけど、我慢するのやめたのか?」
「…何が?」
「Aちゃんのこと」
我慢??
「会ったりするの我慢するのやめたんだろ?」
「…は?」
俺はマネージャーの言葉に面食らう。
「え?違う??」
「…俺、我慢してた?」
「いつもそうじゃん。諦める時って、徹底的に話題にしないだろ。先週までの2ヶ月で一度でもAちゃんの話したことあった?」
「…ないかも」
無意識だった。
「住むところがペット厳禁って言われた時も、ライブで衣装変えなきゃいけなかった時も、休みで旅行行くのがダメになった時も、ピタっとその話しなくなるだろ?」
「そうだっけ?」
「おかしいと思ってたんだよ。静岡行った後、一度もアコちゃんの話もAちゃんの話も何もしなかったし。スクラブくれた時も『はい』しか言ってないからね、お前」
…マジか。
「何もなきゃ『あの子元気かな』とか言うはずなのに、何も言わなかったんだよ。だから我慢してんのかなーって思ってたんだけど」
「…すごいね、無意識だった」
「まぁ伊達に付き合い長くないよな」
コーヒーをすすりながら言うマネージャー。
「…で?」
「ん?」
「我慢するの、やめたわけ?」
マネージャーは言う。
「…多分、我慢しないとなんだと思う」
俺は返して再びトーストをかじった。
「え?」
マネージャーが聞き返す。
「昨日だけで2回暴走してんだよ?無理だよ、迷惑かけちゃう」
そう。
昨日1日で勝手に手を繋いだり、ドライブ連れてけって言ったり。
彼女の体調や気持ちを無視した行動をしまくってたわけで。
お説教に関しては間違ってないけど。
「…そっか」
暴走の内容につっこむことなく
マネージャーもそう返すだけだった。
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作者名:shizu | 作成日時:2018年10月16日 18時