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ツキノミチ ページ32

Aside


石垣いちごの約束を守るために
たいぴーが見てくれてたら安全運転できそう。
と思って2ヶ月前にこの写真をここに入れた。

あー、たいぴー乗る前に外せばよかった。

たいぴーはしばらく黙ってる。

…引いたかな。


「ねぇ」

あと少しでホテルってタイミングで
たいぴーが言う。

「何?」

「少しドライブしない?」

「え?いまから??」

…何を言い出すの?もう1時前だよ?


「ちょっとぐるっと回るくらいのコースない?」

「ないよー…寝る時間なくなるよ?」


空を見ると、月が見えた。
満月じゃないけど明るい。

もしかしたら「あれ」見えるかな。


「ちょっと、ってないんだよね。30分以上かかっても大丈夫?」

何か言いかけたたいぴーを遮って言う。


「あ、ごめん。何か言った?」

「ううん、なんでもない!お願いします!!」

「あははは、明日眠くなっても知らないよ?」


言ってハンドルを海方面にきった。

しばらく走って海に出たら、
月も見えて、海にも月が映ってる。


「ここって…」

「そう、右が石垣いちごで左が海」

たいぴーが身を乗り出して海を見た。


「…見える?」

「何が?」

「月。あと、ツキノミチちっく」

「…ホントだ」

たいぴーの声がワントーン上がった。


「やっぱ藤北といえば『ツキノミチ』かな?」

「あはは、推すね藤北」


2人で笑い会う。


「いいでしょ?ここ。ずーっと海続いてて」

「うん」

「運転しながらだから見れないけど、少し視界に入れながら運転するの気持ちいいんだー」


ずーーっとまっすぐ行くと我が家に着く。
嫌なことあった時はこの道をタナゴコロ聴きながら帰るのが私の気分転換コース。


ここまっすぐで家だよ、なんて話かけたけど
返事はなかった。

ツキノミチに夢中な様子。


海が終わったところで声をかけた。

「どう?ドライブ」

「うん、ちょうどいい感じ」

たいぴーも満足そう。


「…また、連れてきてよ」

「機会があったらねー」

出来ないかもしれない約束はしたくなかったから
はぐらかす。

たいぴーに嘘をつかないためにも、
自分が期待しないためにも。


ホテルに着く前、

「明日10時だよね」

「起きれる?」

「こっちのセリフ」

笑い合った。

少し名残り惜しい。

「帰ったらLINEしてよ」

「待たずに寝てよー」

「待つから」

「…わかった」

私の返事を確認してから車から降りるたいぴー。


ときめいた気持ちも連れて降りてくれれば
楽になれるのに。

女子かな→←封印



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作者名:shizu | 作成日時:2018年10月16日 18時

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