落ちた ページ30
テンションがびっくりするほど上がった俺は
このまま帰りたくない、と思った。
時計を見ると1時近い?
けど。
「ねぇ」
「何?」
「少しドライブしない?」
「え?いまから??」
びっくりした声を出すAちゃん。
「ちょっとぐるっと回るくらいのコースない?」
「ないよー…」
困った顔のAちゃん。
「寝る時間なくなるよ?」
…あ、そうか。
Aちゃんはこの後家まで帰るわけだ。
「じゃあ帰…」
「ちょっと、ってないんだよね。30分以上かかっても大丈夫?」
俺が言いかけたのが聞こえなかったのか、Aちゃんが言う。
「あ、ごめん。何か言った?」
気づいた彼女がこっちを見て聞く。
「ううん、なんでもない!お願いします!!」
「あははは、明日眠くなっても知らないよ?」
…いや、それを言うならAちゃんだよ。
ごめん、俺のワガママで。
しばらく走ると、
石垣いちごの通りだということに気づいた。
夜だと印象が全然違う。
「ここって…」
「そう、右が石垣いちごで左が海」
見ると、テトラポットの向こうに海が見える。
「…見える?」
「何が?」
「月。あと、ツキノミチちっく」
言われて海を見る。
月は満月じゃないけど、
海に道ができてる。
「…ホントだ」
「やっぱ藤北といえば『ツキノミチ』かな?」
「あはは、推すね藤北」
一緒に笑うAちゃん。
「いいでしょ?ここ。ずーっと海続いてて」
「うん」
「運転しながらだから見れないけど、少し視界に入れながら運転するの気持ちいいんだ」
ここまっすぐでうちに着くよ、
なんてAちゃんは言う。
しばらくぼーっとツキノミチを見てた。
こうやって海を見るのって、いつぶりだろう?
しかも隣にはAちゃん。
…俺はホントに幸せだった。
とはいえ、多分海沿いを走ってたのは
5分くらい。
「どう?ドライブ」
「うん、ちょうどいい感じ」
なんか満ち足りた。
「…また、連れてきてよ」
「機会があったらねー」
俺が言うと、また線を引く彼女。
縮まりそうで縮まらない距離。
もどかしい。
ホテルに近づいてきた。
「明日10時だよね」
Aちゃんが言う。
時計を見るともう2時だった。
「起きれる?」
「こっちのセリフ」
2人で笑いあった。
「帰ったらLINEしてよ」
「待たずに寝てよー」
「待つから」
「…わかった」
諦めたように言うAちゃん。
…この時俺は完全に恋に落ちていた。
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作者名:shizu | 作成日時:2018年10月16日 18時