サイボーグな彼女 7

そうじゃなくて 7 ki ページ44

登山しながらキノコ狩り。


楽し過ぎてワクワクしながら登る。

名人が早いからついてったら
気がつくと後ろと差が大きく開いてて。



Aは最後尾のタマと一緒に居た。
タマのキツそうな顔が見えた。
苦手そうだもんな。



しばらくして千賀がとんでもないテンションで登ってくる。



「どした？すげーテンションじゃん」

「Aちゃんが飲み物で俺用にりんご蜂蜜生姜ティー作ってくれてたのー」

そう言ってキノコを見つけて

「あっ！これそうですかー！？」

千賀が声を張ってる。



名人とカメラが千賀の方に行ったのを確認してから横尾さんに

「俺たちも少し飲み物もらう？」

そう聞くと

「そだね」

軍手を取る横尾さん。



Aを呼ぶとスイスイ登ってくる。

「お待たせしました」

そう言ってリュックから飲み物を取り出す。



「Aちゃんすごくない？なかなかの斜面なのにめちゃくちゃ早いじゃん」

横尾さんが驚いてる。




「元々山育ちなんで山登り得意なんです」

横尾さんに言いながら

「冷たいお茶とスポーツドリンクどちらがいいですか？」

さらに小袋を取り出すと

「疲労回復のチョコレートもあります」

って見せてくれる。



「…完全にドラえもんだね」

「そうですか？」

俺は見慣れてるから特に不思議でもなかったけど。



「俺スポドリ」

「はい」

考えてる横尾さんより先に答えて飲み物をもらう。
横尾さんも飲み物を飲むと

「それでは」



って言うと来た道を戻ってタマのところに向かう。

俺んとこの滞在時間数分じゃん。



「最後尾はスタッフも手薄だからね」

横尾さんが言いながら軍手をはめる。



「……別に」

そんなに俺不満そうに見えたか？
俺も軍手をはめてると

「そう？ならいいけどカメラこっち向いたらそんな顔しないでよね」

そう言って横尾さんはニヤッと笑うとキノコを探し始める。



…ホントに拗ねてなんかないし。



でも人見知りのタマがやけに懐いてる。
今までもAと話してたことはあるけどここまで一緒にいるのは多分初だし
マネージャーの中では杉山ちゃんにしか懐いてないしタマ自身杉山ちゃんの言うことなら素直に聞いてた。

期間限定で酒井ちゃんと一緒に居たこともあったけど杉山ちゃんほどは懐いてなかったのに。

Aとは距離を取ることなく一緒にいる。

これは珍しい。



タマが他人と一緒にいる状況が嬉しいと思う反面。





…何でよりによってAだよ。


そう思ってしまった。

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