サイボーグな彼女 7

そうじゃなくて 5 ki ページ40

寝坊した。

起きたらAが迎えに来る10分前。



慌ててその辺にある服を掴んで着替えて降りる。

既に居るA。



「悪ぃ、遅くなった」

「おはようございます」

言いながらAはおにぎりを渡してくる。



「食べ終わったら私のカバンに入れておいて下さい」

「ん」



今日は登山だからAがいつもより動きやすいカッコしてて新鮮。
髪も上げてるから大好きなAのうなじが全開。
朝早いのに元気そうなところを見ると今日楽しみだったんだな。



残り3人を迎えに行ってテレビ局で着替え。



着替えながらタマと千賀が話してる。

「あー今日大変ー」

「楽しみだよー俺は」

「千賀さんはいいよねー。山に帰るんだから」

「ちょっと！酷くない！？」

「んはは、千賀さんはジャングルの方かー」

「違うしっ！」

2人でわちゃわちゃしてるのを見守る俺と横尾さん。



「登山ロケ2つともAちゃんらしーね」

「らしーな」

「だいぶたくましくなったね」

「だな」



確かにAなら喜んで山登りしそーだし。
他のマネ4人登らなさそうだな。



着替えて集合場所でロケ車を待つ間
タマとAが話しててカバンから俺が使うのを反対したネックピローを出す。



それダメだってー。

膨らめてる時の顔が可愛くて見てらんねーから使うのやめてもらったのに。

膨らめてる顔がやっぱり可愛い。



スタッフさんと打ち合わせを終えてロケ車に乗り込んできたAを隣に座らせる。

無理矢理打ち合わせのフリして少し話した後、
車が動き出して少ししてからもたれて寝たフリをする。



…あーー久しぶりにAが近い。

いつものAの香りがする。
ものすごくホッとした。

伝わってくる体温も落ち着く。



ダメだ。
久しぶりの感覚にホッとし過ぎてこの後仕事なの忘れそう。


俺は寝ぼけたフリして寝返りを打ってAに体ごと向けるとAの手を握る。



久しぶりのAの手の感触に何かがこみ上げてきたところに


少しだけ。
本当に少しだけ。

Aが握り返す。



ヤバい。
感極まってなんか少し泣きそうだ。



思わずさらにギューって握ると「ふふっ」てAが笑ってる。
握ってない方の手を俺の手に重ねてポンポンって触ってくれた。

ドキッとする。



このまま時間が止まればいいのに。



そんな時に限ってすぐに休憩のサービスエリアに。


「北山さん、休憩です」


そう言うAの声はいつもの冷めた声。




…さっきのは幻？

そうじゃなくて 6→←そうじゃなくて 5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す