サイボーグな彼女 7

帰らない 23 ki ページ28

Aと一緒に寝れなかった俺は
大人げなく不機嫌で。

有楽町で車を降りるとルームウェアの店をハシゴする。



Aに似合いそうなルームウェアを
半袖と長袖の2着買う。

昔のラブソングにあった
今年の冬もそれからもずっと一緒にいるためのおまじない
をなぞらえる。



…Aは気づかねーかな。



甘い物はお互い好きじゃないから
小さめのケーキを買って
33になるように数字の3のロウソクを2つ買う。


Aんちに向かうと部屋の前でLINE。

『あと3分くらいで着くけど大丈夫？』

送るとすぐに返事が来た。

『大丈夫です』



よしっ。



俺は合鍵で鍵を開けて部屋に入るとケーキを出してロウソクに火をつける。

そっとリビングを覗くとちょうどAがこちらを背にして座ったタイミングだった。



ん、今だ。



俺は電気を消すとリビングの入り口にプレゼントを置いて部屋に入る。

ものすごく驚いてるAにケーキを渡して
プレゼントも渡す。


「はい。お誕生日おめでとーうっ」


そう言ってプレゼントを渡すと
プレゼントの袋をじーーーっと見てる。



…何だよ？




「…北山さん」

「んあ？」

「私も渡したいものあるんですけど」

「……え？」



俺が驚いてるとリビングから居なくなるA。
少し経つと俺と同じラッピングの袋を持ってくる。



「…お誕生日おめでとうございます」



言いながら少し照れた顔のA。



「えぇーーーっ！！」

「いつもお世話になってるんで」

「ありがとう」



お礼を言うとホントにAが照れてる。
恥ずかしそうな顔を見たことが無かった。



…めちゃくちゃ可愛いんですけど。




「なぁなぁ、開けよ？」

「はい」

俺が言うとAは頷いてお互いラッピングを開ける。




「…わ」

「…可愛い」



俺のは薄手の長袖と厚手の長袖のルームウェア。

Aに買ったのは半袖と長袖のルームウェア。




「北山さん、寒がりだから暖かめのにしました」

Aが言う。



「俺は…何でこうしたか分かる？」

「これは今からも使えるようにですか？」

そう言って半袖の方を広げるA。



……あー、やっぱりピンときてないか。



「ん、まぁそう」

「すごく嬉しいです。ありがとうございます」

そう言って笑った顔のAが本当に嬉しそうで。



分かんなくてもまぁいいか、と思って

「ケーキ食おっ。このケーキそんなに甘いの得意じゃない人にもオススメだって」

って話を変えることにした。

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