サイボーグな彼女 7

帰らない 22 ページ25

北山さんがお礼を言うから
私もお礼を言う。


そうして笑い合ってたら
なんかホッとしたのか眠くなってきた。



「寝ます？」

「んー？Aが寝てからな」



私が聞くと北山さんも眠そうな声。



しばらく私も北山さんも黙ったままだった。
目は閉じてるけど寝ては無さそう。

私としては早く北山さんが寝てくれないと
明日の撮影も心配だし
ここで寝るのはハードルが高くて無理。

北山さんが寝てさえくれれば
私は床にひいた布団に移って寝れる。

少しでも動くと北山さんが目を開けるから
とにかく私は息を潜めて北山さんが寝るのを待った。



しばらくして

「…抱っこして寝ていい？」

北山さんが今にも寝そうな声で聞いてくる。

「ダメです」

私が答えると

「ちぇーっケチ」

そう言いながら少し私に近づく。



近いですよ。



離れようとしたら

「やっぱりAのそばは落ち着くな」

北山さんからあまり聞かない低くて甘い声。
そう言って深呼吸してる。



…北山さんも本当は何か辛いことがあったんですか？



「どうかしたんですか？」

「んーん。なーんもないよ」

そう言って私と目を合わせると柔らかく笑う。



「やっぱりさ、ずっとAと一緒に居たいなって思っただけ」

そう言って、ふふふ、って低く笑う。
そのまま目を閉じてる。



…出たまた『ずっと』って言葉。
しかも寝そうですし、むしろ寝ぼけてますか？



「だから無理ですって」

私が言うと

「無理じゃねーよ、俺はAと居るって決めたんだから。俺はぜってー離れねーし、Aも俺から離れんなよ」

北山さんは目を閉じたまま言いながら私の頭を撫でる。



と、パタッと北山さんの手の力が抜けて私の頭に手を添えた形になったかと思ったら
すーっすーって規則正しい寝息を立てる。



結局先に寝てるじゃないですか。



しかも顔に乗ったこの手。


私はそーっと動くと私の顔の位置に抱き枕のババさんを置く。


北山さんは気づかずにそのまま寝ている。



…よしっ。



ほら、私と一緒が落ち着くとか言いながらババさんでも大丈夫じゃないですか。

相変わらずの全力の寝顔を見てたら私も眠くなる。



床にひいた布団に潜り込んだ。



近くに北山さんが居る。
それだけでものすごくホッとして。

リビングに布団を動かすのを辞めてそのまま眠った。




次の日起きた北山さんはものすごく不機嫌で

「何これっ」

寝癖爆発でババさんを抱えてたけど。



先に寝たのは北山さんです。

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